テレビを見ていたら、横から手が伸びてきた。
苦痛じゃない沈黙がこの部屋を支配してどのくらいだろう。
会話のかわりのように、手は伸びてきた。
頭に触れて髪の毛を指に絡めて、暫らくそれを繰り返してから指先は頬にうつった。
指の腹で撫でて、耳朶を挟む。
相手がどんな顔をしているのか見れなくて、俯いてしまうのはいつものこと。
注がれる視線がどこを移動しているのか、指で触れられたみたいにはっきりと肌が感じる。
大きく力強い手が優しく触れてくる。
くすぐったくて心地良くて、伝わる優しさに涙が出そうになる。
きっかけがあるわけじゃなくて、読めないタイミングで温かい手が伸びてくる。
タカの中に、俺に触れたいっていう感情が沸いて、それで伸びてくる手。
好きだって言われるのも気持ちいいけど、性欲を満たす目的じゃなく触られるのは言葉よりもずっと切実に感じて好き。
口唇を撫でた指が顎を支えた。
ぎゅっと目を閉じる。
影が落ちる。
鼻がぶつからない角度に首を傾げ、近付く。
口唇が触れ合い、それだけで離れていく。
そっと目を開けるとタカが笑っていた。
あやすように俺の頭をポンポン叩いて、傾けていた体を元に戻す。
俺の緊張とか、安心したのとか嬉しいのとかわかってないのか、何もなかったようにテレビを見始める。
タカが前フリなしに俺に触ってくるのと同じ気持ち、俺の中にもあるって知らねぇの?
タカのシャツの裾を引いた。
向けられる視線。
直視するのは死ぬほど恥ずかしいけど、ちゃんと見た。
「……それで、おしまい?」
この部屋に、響いたのは俺の声だけだった。
タカの返事は言葉じゃなくて、さっきのよりも時間をたっぷりかけたキスと、ぎゅっと抱き締めてくれる腕の強さだった。
2005/10/9あっまーい!!!!
さて。モノカキさんに30のお題、コンプリートでございます!!
01のはじまりの挨拶を書いたのが2003年……。その間に配布サイトさまはリンク切れとなってしまいましたが、なんとかコンプリートすることができました。配布サイトさま、読んでくださった方々、ありがとうございました!!このシリーズはお題で書きやすいので、これからも楽しいお題を発見して挑戦していきたいと思います。