フッボーで14のお題
太陽14:カウンター・アタック



風を感じる。
例えコーナーフラッグが風になびいていなくても。
風が、生じるのだ。
苦しい方向から、希望の方向へと向きを変える瞬間。
吹き飛ばされるような突風をイメージする。


ゴール前45度。
イタリアのスーパースターが得意とするシュートゾーン。
同じくその角度を得意とする選手がフリーでシュート体勢に入った。
放たれたシュートはコースに体を投げ入れた寺井の背中に当った。
鈍く大きな音がスタジアムに響き、ボールは跳ね返る。
自由になったボールが宙を舞う。
ボールはさほどの滞空時間も要さずに地上に落ちてきた。
富永の足がそこを掬い上げる。
再び宙に浮いたボールは相手ゴールへと向けて蹴りだされる。


前線へ蹴り出されたボールは、相手ディフェンダーよりも遠くへ落ちる。
ゴールとディフェンスラインの間。
余裕でディフェンダーがものにすると思われたボールに、一足早く辿り着いたフォワード。
ボールに触れ、前へと走る。
その姿はまるで野兎。
わっと、スタジアムが揺れた。
周りに視線をやりながらも、決してスピードを緩めようとはせず猛進する。
開けたスペース。
悠々と前進する兎の目が、味方をとらえた。
きゅっとブレーキがかかったように失速し、向きを90度変えて大きなパスを出した。
ボールの先に、走りこむ白い影。
まるで走り幅跳びの選手のような助走と跳躍を見せた、9番。
高い高いジャンプから打ち付けられるヘディング。
ボールはゴールラインの上にたたき付けられ、バウンドしてネットを揺らした。


あっと言う間のカウンターアタック。
片岡昴が拳を天に掲げ咆哮し、その背中に英介が飛び乗った。
英介が昴に飛びつき、喜びを分かち合う。
時に味方をも震撼させるカウンターアタック。
小さなチャンスを必ず自分達の味方につける圧倒的なスピードと高さ。
ゴール裏に向かって拳を突き上げたツートップを、サポーターは誇る。
見たか、俺達のオフェンスを。
サッカーの醍醐味は、勝利よりもゴール。
主審のホイッスルが告げる勝利は勿論嬉しいが、予期せず揺れたゴールネットがもたらす歓喜の瞬間は、勝利の瞬間よりも人々を興奮させる。
それを、知っている二人のストライカー。
普段は意地の悪い言い合いのできる先輩後輩だが、ピッチの上ではお互いの弱点を補い合い、得意なプレーを引き出しあう。
阿吽の呼吸のツートップだ。
同じ飢えを抱えた獣の呼吸はチームに風を呼ぶ。

ゴールへ。

勝利へ。

歓喜へ。


2005/4/23
「2トップ」の内容にしようか迷ったのですが、内容がカウンターなので。強いFWも好きですが、高いFWや速いFWが好きです。バランスのとれた選手が理想かもしれませんが、何か一つ誇れる武器をもった選手が好きなようです。

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