※注意!!
このSSにはかの有名な藤原忍さんプロデュースのシモウサが登場します。
そして微エロです(笑)
覚悟して読んでください。後悔しても知りませんよ。
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奥モフの会の脅威、杉山の困惑、その結果




「……えっ……?」

 朝、気持ちよく目覚めたはずの坂井の第一声はこんな言葉だった。
 坂井の人生の中で、朝起きたら隣に知らない女が寝ていたなんて経験がなかったわけではない。
 朝起きたら一緒にベッドに入った覚えのない同僚が、隣でぐーすか眠っていたなんてことはしょっちゅう起こるようになった。
 だが、朝起きたら隣に寝ていたはずの同僚の姿がなく、その代わりとでも言うように見知らぬぬいぐるみが置いてあったなんて経験はない。
「なんだ、コレ?」
 純白のソレはうつ伏せ状態で布団の中に埋もれていた。
 無造作にそのぬいぐるみに手を伸ばし、触れた瞬間。
 モフモフ。
「!!!???」
 なんとも形容し難い感触に、坂井は手を引いた。
 柔らかくなく固くもなく、なんともいえない感触。
 さらにはなんとなくだが生体反応(?)らしきものまで伝わってきて……。
「……ぬいぐるみだよなぁ」
 もう一度坂井は手を伸ばし、やはり伝わってくるぷにぷにした妙な感触に困惑しながら掴み、持ち上げてみた。
 微妙な重さのソレを目線まで持ち上げてみる。
 だらーんと持ち上がったのは、純白の……ウサギ。
 ウサギ……???
 いや、ウサギの着ぐるみか。
 確か安見が、黄色く太ったクマがカエルの着ぐるみを着ているようなキーホルダーを持っていたっけか。
 ぬいぐるみにぬいぐるみ着せて何が楽しいんだと思ったのだ。
 今坂井が手にしているのは純白のウサギを着た……ヒト。
 寝顔のそれはどこか、どこか誰かに似ている。
 あまり深く考えたくはないが。
 ぱちっと、突然着ぐるみぬいぐるみが目を開けた。
「よう、俺の天使」
 口を開いた。
 喋った。
 しかも俺の天使。
「……う」
「う?」
「うわぁああああああああ!!!!!!!!!」
 こんな悲鳴上げたの何年振りだろうという悲鳴が、坂井の咽から搾り出された。
 同時に手を思い切り振りかぶり、鷲掴みにしたぬいぐるみを壁に向かって投球した。
 壁に向かったぬいぐるみは激突寸前でピタリと止まってしまう。
 停止した。
 つまり。
 浮いてる。
(ヒィィィィ!!)
「乱暴だな。恋人にはもっと優しくしろよ」
 ふわふわ浮いて、くるりと振り向く。
 ニヒルな表情とその声を、坂井は知っていた。
 昨日、一緒に寝た男で、同僚で、馬鹿で、フランス返りの気障男・下村敬!!
 坂井の体は恐怖で凍りついた。
 ふよふよと宙を漂いベッドに戻ってきたソレは、ポスンとベッドに足をつけひょこひょことシーツに包まり怯えている坂井をポンポンと叩く。
 ぬいぐるみ(?)のくせに、妙に堂に入っている仕草が更なる恐怖を呼ぶ。
 坂井の目は既に涙目。
 鉄砲玉経験あるし、前科一犯だし、他イロイロ裏世界での経験のある坂井でも、こんなわけのわからない非現実的体験には否が応でも恐怖心が湧き出てくる。
 とにかく怖い。
 気絶するほど殴られようが、ナイフを突きつけられようが、車でメーター振り切るほどの走りをしてようが恐怖心とは無関係だったはずなのに、坂井はこの得体の知れなさすぎるうさぎのぬいぐるみに恐怖していた。
 まるでベッドインの翌日、改めて恋人の顔を見て真っ赤になって照れてしまった純情な女の子のように、坂井はシーツに包まりベッドの上で怯えていた。
「今更照れるなよ、天使」
 ウサギとはコミュニケーション不可能。
 くいくいとシーツが引かれる。
 浮かべているそのいやらしい笑みはまさしく、どう見ても下村敬!
 あの男自身得体の知れない、坂井には理解不能なところのある男だったがまさか正体がウサギだったなんて。
 相手をしないで放っておくと『淋しくて死ぬ』などと馬鹿なことを言っていたが、こういうことか。
 っつーか、指なかったくせにどうしてシーツが掴めるんだ。
 ドラえもんの手の構造と一緒か!?
 あれ、ドラえもんってどうやって道具持ってたっけ?
 持つって言うよりのってたような……
 坂井が激しく錯乱している間にも、下村ウサギはシーツをくいくい引っ張って少しずつ剥がしていく。
 上半身分剥がされて、坂井は気が付きたくないことに気が付く。
(………………ヤる気ですか!!!???)
 それって獣○!!
(ひいいいい!! 藤木さん! 叶さぁん!! 俺、今すぐ直ちにそっちに逝ってもいいですかぁ!!!!)
 坂井直司、思春期によくある自殺願望を三十路過ぎて抱いた瞬間。
「悦くしてやるから」
 今までこんなセリフで落ちていた自分がとてもイヤ。
 すごくイヤ。
「遠慮するな」
 ぽんっと下村の手が、丸い手が、坂井の腕を叩いた。
「あっ」
 その手の筆舌し難い感触に、坂井はつい、つい声を上げてしまった。
 にやりとウサギは笑う。
「俺の全部で気持ちよくしてやるぜ★」
 坂井直司、ウサギを目の前にして人生最大の危機を迎えた。



「ただいまー。あっ、坂井さん来てたんだー。どうしたの? 顔色めちゃくちゃ悪いわよ?」
 午後のレナのカウンター。
 地獄から満身創痍で生還した亡者のような顔をして俯いていた坂井に、学校から帰ってきた安見が声をかけた。
「……いや、ちょっと……」
「ねぇねぇ、坂井さん最近、夢見た〜?」
「ゆっ、夢!?」
 そりゃあ、見ましたとも。
「そう。あのね、最近学校で夢占いって流行ってるの。夢って人の無意識を表してるから、その人の願望とか悩みがわかるんですって」
 早速安見は本を取り出す。
 占いなんか信じないんだけど、これってちょっと心理学的で信憑性あるじゃない、なんてことを言いながら。
「……う、ウサギのぬいぐるみと……下村が出てきた夢なら見たな」
 本当はウサギと下村ではなく、下村がウサギだったのだけれど。
「ウサギのぬいぐるみと下村さんね。何してた夢?」
「…………」
 言えません。
「私には言えないようなことね。ちょっと待ってね」
 パラパラと安見は本を捲る。
「あのね、ウサギは臆病な気持ち、ぬいぐるみは愛して欲しいっていう欲求なんだって。恋人とそーゆーことしてるっていうのは、恋人との関係に意欲的になってること。なぁんだ、ラブラブじゃない。坂井さんと下村さん」
 キャーっと大袈裟に安見は茶化すが、坂井の顔色はますます悪くなる。
「……夢の中で、怯えてるっていうのは……?」
 搾り出すような声で問われ、安見は首を傾げながらもパラパラと本を捲る。
「えっとね、奪われてしまうことへの不安や恐怖を表している、だって。凄い! ホントにラブラブよ! つまりぃ」
「まとめなくていい!」
 夢占いとやらが本当に人の深層心理を映し出すというのなら、それってつまり自分は下村に愛して欲しいと願っていて更にそんな関係に積極的で、しかも離れたくないと思っているということで。
 まとめるまでもなく、安見嬢の仰る通り『ラブラブ』っつーことで。
「さ、坂井さん??」
「俺、俺……ちょっと疲れてるのかなぁ。毒されてんのかなぁ……」
 数秒間、坂井は遠い目で安見には見えないどこか遠くを見つめ、緩慢な仕草でコーヒー代を払うと、ふらふらしながらスツールを立った。
「坂井さん、大丈夫? なんか、倒れそうよ?」
 安見の声に片手をあげるだけで答えて坂井は店を出た。
「そんなにショックだったのかしら、坂井さん」
「照れてるのかしらね」
 のどかな会話をする親子の目撃証言を最後に、それから暫らく坂井直司は消息を絶った。




余談

「あれ、坂井来てねぇの?」
 坂井が去ってから数分後、しっかり人間の下村敬がやって来た。
「さっきまでいたわよ」
「なんだ、入れ違いかよ」
「ねぇねぇ、下村さん、最近、何か夢見た?」
「夢? そういや、昨日面白い夢見たな。坂井が黒猫でさー、俺が飯作ってやってんの。なのにあいついつの間にかいなくなって、俺一人でそれ食うのな。ずーっと」
 ふんふんと相槌をうちながら安見が捲る本を見て、なんだ夢診断かと下村は言う。
「えっと、猫は好きな人の一面で、逃げられるのは拒絶したい時なんだって。料理をするのは愛を与えたいっていう欲求で、一人でずっと食べてるのは満たされていなくて愛に飢えている……」
「それってつまり、俺は坂井に愛を与えたいけど坂井はそれがイヤで、俺は満たされてないっていう、気持ちの擦れ違いってことかな?」
「恋愛って難しいわね、下村さん」
 難しいのは恋愛ではなく下村敬を理解することである。


終わっとこ


2002/05/10
文章の限界を知りました。
当サイトのキリ番ゲッター受けキング★藤原忍さんからの五万打リクでした。
確か、一月のモフ会でうちの五万打に「を狙いつつ五シモウサエロ」をリクエストするのだと仰り、それに臨場する方々が数名名乗りをあげられ、私はかなりドキドキしながら自爆万打を迎えたのですが、こういう時に同人の神様はオーラのある方に味方して、見事忍さんがうちのキリ番踏打7冠目を果たされました(ある意味呪い)
そして優しい藤原さんは、「シモウサエロ」に困惑する私の前に女神のような頬笑みを湛えて現れ、
@シモウサエロ
A下坂甘甘甘甘ラブラブラブラブエロ(微エロ可でも口から砂を放射する勢いで)
B下坂甘ラブエロエロエロエロエロ(エロ×5)
という三つの道を私にお与えになりました。さすが、北の受けキング★今度会った時は絶対に腰砕けにしてやる☆v
逃げ道(逃げ道か?)を与えられると逆に危険な獣道を行かなくてはならないのではないか、という強迫観念に囚われ、男らしく@を選択してしまいました(後悔)
書いてる間、ずっと別ウィンドウで忍さんの「EASY GOING」のシモウサ漫画を開き、パソコンの傍らには藤原さんのシモウサ本を開きという見えない嫌がらせをしつつ。
書き終えた瞬間、書き直そうと思ったのですが他にネタを練れもせず、妥協してこの作品を掲載させていただきます。
いつもよりも後書きが長いのは後ろめたいからです(笑)
だって……シモウサって……形容しがたい魅力たっぷりだから……
忍さん、こんなんで勘弁してもらえるでしょうか。シモウサと言ったら、ニヒルに笑って片手を上げて「よう」というイメージ!
イメージはあるのに文章にすると……(言い訳)ちくしょう、言い訳だけでSSになりそうだ。逃げるか。
じゃ、俺。

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