※この話はテニプリ氷帝パロ初っ端にも関わらず宍戸さんが生理痛に苦しむ話です。
 女体化狙ったわけではないんですが、生理がある宍戸さんが嫌な方は読んじゃ駄目です。
 読まれてからの苦情は勘弁していただけたら……
 っていうか、一発目がこんなんですみません。




月よりの使者



 帰宅途中にかかってきた電話で買ってくるように命じられたのは、夜用羽根付き二十八センチ。

 恥ずかしいから嫌だって言ったのに、買って来なかったら口きかないとか子どもみたいなことを言うもんだから、罰ゲームくらいに思われるんだろうなぁって言う品物を羞恥を誤魔化すように籠に放り込んだ洗剤やシャンプーと一緒に入れてレジに並んだ。
 レジの女の子の顔が見られなかった。
 宍戸さんのばか。


 部屋に戻ると宍戸さんはおかえりを言ってくれないで、ソファーの上で丸くなっていた。
「もう寝ちゃった?」
 顔を覗き込むと、パチリと目が開いていきなり睨まれる。
「……?」
 そんな睨まれるようなことしたっけ?
 ちゃんと買い物もしてきたよ?
 そりゃ、恥ずかしくて商品棚の前でウロウロして、ちょっと時間はかかったけどさ。
 今度はぎゅっと目を閉じて、息も止めるようにして体を丸める。
 眉をぎゅっと寄せて、髪の生え際には汗が滲んでいた。
 タオルケットを丸めておなかに押し付けている。
 月一の使者って奴は、時々宍戸さんを憂鬱にするだけじゃなくて苦しめてしまう。
 痛いの、ひどい方じゃないって言うけど、今日はひどそうだ。
 大丈夫な時の宍戸さんは、『あー、腹いてぇー』って言うから。
 今回はかなりひどそう。

 だけど俺にはどうしたらいいのかわからない。
 オロオロしてると、
「腰、摩って」
 宍戸さんの声じゃないみたいに苦しそうな声がした。
 言われた通りに腰の辺りをゆっくりと摩る。
 温めた方がいいって冬はカイロを貼り付けてるから、手の平の熱が伝わるようにゆっくり。
 うー、と動物みたいな唸り声。
 時々息を詰めて、吐き出す。
 その度に力の入った眉間が緩んでいく。
 ゆっくりゆっくり、体から力が抜けていく。

「……買って来たか?」
 ちょっとは楽になったのかな? 顔を上げてくれた。
「はい。ものすっごく恥ずかしかったけど」
「余計なものまで買ってきやがって」
「だから、恥ずかしかったんですよ〜」
「コンビニで平然とゴム買う奴がか?」
「それとこれとは別ですよ」
 力ないけど、宍戸さんがようやく笑ってくれた。
 わけわかんねーって言いながら、ほぅっと小さな溜息をついたのが聞こえた。
 今度は引っくり返って仰向けになって、俺の手をおなかに上に置いた。
「子ども産んだら楽になるらしいけどな」
「えっ、じゃ、じゃあ俺と宍戸さんの赤ちゃん……!!」
「でも出産なんてこの倍の痛みらしいからな。絶対に無理。死ぬかも」
「えぇえっ、それは駄目! 宍戸さん死んじゃ駄目〜!」
 どさくさに紛れて抱きつくと、宍戸さんは笑いながら頭を撫でてくれる。
 おなかって言うか、下腹部に耳を寄せて宍戸さんの方に顔を向けると困ったように笑われる。
 生理痛の時、宍戸さんがこのへんを摩ってる姿がなんか好きなんだよね。
 痛いから摩ってるんだろうけど、なんか妊婦さんみたいで。
 いろいろ想像を逞しくしちゃうわけです。
「何にも入ってねぇぞ」
 って言った途端にぐぅって。
 二人同時におなかが鳴って、宍戸さんはゲラゲラ笑い出した。
「腹減ったぞ、長太郎―」
 げしって足で蹴られる。
 台所に行けって合図。
「何が食べたいですかー? 酸っぱいモノかなー」
「そりゃ妊娠したときだろ」
 女の子の日ってイライラするって言うけど、宍戸さんは逆なんだよね。
 ちょっと優しい宍戸さん。
 宍戸さんには申し訳ないけど、月一の使者に俺はちょっと感謝した。


2004/07/17
す、すみません……。

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