※注意!!
この作品はBDの学園パラレルなお話しです。
バーテンとフロマネが幼馴染で退行してもらって高校生です。


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選択の時



「………………………………」
 下駄箱の前で坂井は顔を顰めた。
 玄関には坂井一人。
 今は4限目が始まった時間だろう。
 昨日はバイク仲間と飛ばして外泊した。
 気が付けば太陽が高く高くに輝いていたので重役出勤となってしまったのだ。
 考えてみれば、こんな時間に通学するのも久しぶりだった。
 下村と親友と言う言葉だけでは表せない関係になってからは、けっこうマジメに学校生活を送っていたから。
 周りからは丸くなったとか言われて、気さくに話し掛けてくれる級友達が増えた。
 暫らくは女の子からの告白だとかもあったのだが、最近はぱたりと途絶えた。
 変わりに下村と連名の手紙があったりするが、それはいつも下村がどうにかしていた。
 今日、下駄箱に入っていたのは一枚の写真。
 何気に手にとって見て、数秒後にはまず真っ二つに破いた。
 畳んでは破りを繰り返し、これ以上ないほど細かい紙くずにしてしまうとゴミ箱に乱暴に放り込み、くるりと踵を返した。
 大股に校舎を横切ると、職員の駐車場の方へ向かう。
 その片隅に校舎からの非常階段がある。
 少し登って躍り場に腰を降ろせば万が一駐車場に誰かが車を入れてきても見えない。
 混乱したままストンとその場に座り込んだ。
「……………………………………」
 何を考えるべきだったんだっけ?
 とりあえず鞄の中から煙草とライターを取り出した。
 一服して、長い溜息に乗せるように煙を吐き出すとだんだんと落ち着いてきた。
 あぁ、そうだ。
 写真だ。
 下駄箱に入っていた写真は、私服の下村と顔は映っていなかったが女の子が一緒にいるところだった
 たぶん、下村の昔の彼女。
 けっこうとっかえひっかえに遊んでいた気がする。
 自分もあまり人のことを言えた方ではないが、女と一緒にいるよりはバイクを飛ばしている方が好きだったから下村ほどじゃないはずだ。
 あんな写真が自分の下駄箱に何故入っていたのかが疑問。
 それに動揺している自分の心情もわからない。
 淡白な付き合いなはずなのに。
 好きだけど、そんなに執着してないはずなのに。
 なんでこんなに……
「ムカツク」
 煙草、久しぶりに吸う気がする。
 口淋しいなんて思う暇がないほどのキスをしていたから。
 ベタベタするのが嫌いなんだとずっと思っていた。
 それは長い間の思い違いだったらしく、下村はしょっちゅうキスを仕掛けてくるし触れたがる。
 恥ずかしさに坂井はついついそれを拒んでしまうが、実は嫌いじゃない。
 そんなことも下村は知っているだろうが。
 やんわりと触れて、悪戯に唇を擽って吸い上げてゆっくり離れるキス。
 口にはしないが気持ちがいい。
 そんなキスを、自分だけが知っているならいいのに。
 無意識に持ち上がっていた自分の指先が唇に触れる感覚に驚いて、坂井はそれを紛らわすように反対の指に挟んでいた煙草を銜えた。
 写真の中で下村と女の子は軽いキスを交わしていた。


 タンタンタンと重い足音が聞えてきた。
 昨日の睡眠時間の少なさも手伝って、うつらうつらしていた坂井ははっとして目を覚ます。
 慌てて煙草とライターをしまってしまうと、上がってくる人物のたてる足音に体を強張らせた。
 今、階段を上がっても足音には気付かれてしまうだろう。
 生徒であれば問題もないのだが……
「よいしょ」
 と言う掛け声とともに姿を見せたのは、大きなダンボールを抱えたスーツ姿。
「……お? 坂井か?」
「……立野センセ?」
 ダンボール箱の横からひょこりを顔を出したのは立野だった。
「ちょうどいい。手伝えよ」
 叱るより咎めるよりも先に自分の手伝えをしろと言う教師に苦笑しながら、坂井は言われたままに立野の抱えるダンボールの上の一個を取ってやる。
「で、サボリか?」
 けっこうな重量のある箱を抱えて、階段を登って行くその途中で立野が優しい口調で尋ねてくる。
「そうですよ。それより、コレ、どこまで運べばいいんです?」
「資料室室」
「って、四階じゃないですか」
「校舎の中通るよりもこっちからの方が近いんだ」
「何入ってるんですか?」
「参考書」
「げっ」
「お前の学年の分な」
 そう聞くと、荷物がぐっと重くなったような気がする。
 四階までやっと到着すると、マスターキーで非常口を開けてすぐそこの資料室に入る。
 長い廊下に人影は他になく、微かに教師達の声が聞えるだけだ。
 いつも少しだけ埃っぽい匂いのする部屋に運び込んで、一息つくと立野がコーヒーでも飲んでいくかと声をかけてくれた。
「で、久々のさぼりの理由は何だ?」
 コーヒーメーカーをセットしながら立野が背中で聞いてくる。
 確か立野には中等部に息子がいるはずだ。
 背中で語る立野には父性が感じられる。
 だからと言って、ふらりと口にできる悩み事ではないが。
「……下村かな」
 疑問形ではなくぽそりと独り言のようにそんなことを言われて、坂井は何も言えなくなる。
 何でもない振りをしようとしてゴタゴタした室内を見回してみるが、その視線の走り方もぎこちない。
 この分では自分の方から言い出しはしないだろうと立野は嘆息した。
 無理に聞き出すのも野暮だろうか。
 さてどうしようかと立野がのんびり考えていると、コンコンと滅多にノックされることのない立野の城のドアがノックされた。
「どうぞ」
 誰だろうと思いながら返事をすると、失礼しますと丁寧な断りを入れてから、藤木が入ってきた。
 坂井を見て、おやっと言う顔をしてから立野の方を見る。
 苦笑している立野の表情を見ると何か察したのか、同じような苦笑を浮かべた。
「急な来客があってもので。資料、運ばれました?」
「えぇ。ちょうどいいところに手伝い人員もいましたしね」
 坂井にブリキのカップを差し出してやると素直に受け取った。
 藤木にもどうかと声をかけるといただきますと返事をした。
 パイプ椅子を引っ張り出して、腰をかけた藤木がちらりと坂井の様子を探っている。
 そう言えばと、立野は口を開いた。
「藤木さんと校長は確か、坂井を入学前からご存知だったんですよね?」
 坂井の入学前の時期に、川中がうきうきした調子で一年の担当になる職員に言ったことがある。
『今年は生きがいいいいのが一人入るからな』
 とかそんな感じだったはずだ。
 入学してきた新入生の中から生きのいいのを探してみると面白いのが入っていて納得した。
 それが坂井直司だった。
「チンピラを相手にやんちゃしてるのを校長が見つけられまして、ちょっと手を出したんですよ。校長も坂井を気に入って怪我の手当てをすると言い出しまして」
 あの校長らしい。
「坂井も気を許して、自分を助けた男が高校の校長だと知るとうちに入学すると言い出して、春になってみたら本当に入学していたわけです」
 坂井は確か推薦入試だったはずだ。
 そんなにレベルが高いと言う訳でもない学校だし、頑張りを見せたのかもしれない。
 高校に入ってからのさぼり癖は昔からのものだと言うわけだ。
 坂井は少し恥ずかしそうな表情でコーヒーに視線を落としていた。
 そうしてみれば今は落ち着いたものだ。
 ある時期から真面目に授業に出るようにはなっていたのだが……
「で?」
「で? って……?」
 何を尋ねられたのかわかっているのだろう。
 見上げてくる目が不安定に揺れている。
「今日のサボリの理由はなんだ? 下村だろう」
 疑問形の次にそうでない言葉がきて、坂井は思い切り動揺した。
 図星を描いた顔が泣きそうに歪むが、すぐに我に返って無表情を装う。
「違います」
 そう言うと思ったが。
「最近は授業も真面目に出てるじゃないか。校長が喜んでたぞ」
 藤木がそう言えば、罪悪感もあるのか表情を曇らせた。
 嘆息を藤木と立野が同時につく。
「喧嘩なんかしょっちゅうしてるだろう。何を今更下村を避けてるんだ? 険悪な喧嘩でもしたのか?」
 畳み掛けた立野の問いに、坂井がきっと顔を上げた。
「知りませんよ! あんな女ったらし! 俺っ、今日は早退します!」
 言うなり側にあったぺちゃんこのカバンを手にして、足を止めることなくばたばたと出て行ってしまった。
 泣き出しそうにも見えた坂井の様子に何も言えず、ただ見送った立野と藤木はまた顔を見合わせて首を傾げた。
「あの下村が浮気でもしたのかな」
「……考えられませんけどね」



 結局一つも授業に出ないまま帰宅した坂井は、ベッドに転がってじくじくする胸の痛みを持て余していた。
 自分と下村が親友という関係だけでは言い表せなくなる前に、下村が校内の女の子と何人も付き合っていたのは知っている。
 自分だって学外の女には手を出していた。
 別に綺麗な体じゃなきゃダメだとか言うような仲でもなし。
 自分を扱う下村の仕草に女の影を見ないわけじゃないけれど、それを拒んでしまうほどの拘りもない。
 なのにあの写真。
 破く前に日付でも見ておけばよかった。
 自分とこうなった後のことなのか、過去のことなのかわからなくなってしまった。
 子どもじゃないから、過去のことに妬いたりしない。
 だけど、あの写真の女の子との付き合いが現在進行形だったら?
「……すっげぇ、いやだ」
 きしりと胸が痛む。
 その痛みが、自分がどれほど下村のことを想っているかを表していて、なのにこんな気分にさせられていて、余計に腹が立つ。
 ごろりと寝返って時計に目をやった。
 そろそろ下村が帰ってくる頃だ。
 ちらりと窓の外を見てみた。
 下村の部屋の窓が正面にある。
 白いシャツが見えた。
 帰ってきている。
 思わずベッドに隠れるように伏せた。
 がらりと窓の開く音がして下村が呼びかける。
 応えなくてもたぶん下村はこっちに来るのだ。
 憮然としたまま坂井は布団の中に潜り込んだ。
 暫らくすると予想とおり、玄関が開く音。
 親はどうせ日付が変わる頃にしか帰ってこない。
 自分の家とそう変わらない態度で上がりこんだ癖に、ドアの前ではノックをした。
 さっきと同じように無視していると、どうせドアの前で溜息でもついたのだろう。
 一拍おいてから、ドアが開いた。
「さっかいー?」
 機嫌を窺うような声。
 近くなる気配に何故だか腹が立つより先に泣きたくなった。
「調子悪いのか?」
 ベッドが少し沈む。
「坂井?」
 覗き込もうとする下村の動きを拒もうと枕に顔を押し付けた。
「俺、なんかした?」
「うるせー」
「おい、何怒ってんだよ。学校にも来ないし」
 心配したのだと言外に告げられて、また胸が痛んだ。
 今まで気にならなかった下村の昔の女の子との付き合いを、比べたくないのに比べてしまう。
 こんな風に、彼女達のことも心配したのか?
「帰れよ。用ないんだったら」
「坂井」
 訳もわからず拒否されて、さすがに下村もむっとした声になる。
 それでも理由を教えてやる気にはなれずにそのまま無言でいた。
「立野先生と帰り際に会ったんだ」
 自分の方を向かせることを諦めたのか、少しだけ下村の声が遠くなった。
「何か勘違いしてないか? 俺、浮気なんかしてないぜ?」
 ちょっと前まで不安だったけれど、よく考えれば四六時中一緒にいるからそれはないと思い直せた。
 けれどそんな言葉だけでは坂井の不安は溶けない。
 熱のこもる布団を剥ぎ取ってしまいたくなる。
「なぁ、坂井?」
 ポンと優しく頭に触れた手を邪険に振り払う。
 今は何をされても比べてしまうから。
 そういう自分が女々しくて嫌だから。
 きゅっと唇を強く噛んだ坂井が包まっていた布団が突然勢いよく剥ぎ取られる。
「下村っ!」
 乱暴な仕草に発した抗議の声は奪い取るようなキスで途切れた。
「わかってないな。坂井」
 痛いと感じるようなキスの後に下村が嘲笑うように呟いた。
 見上げる目は決して怒ってはいない。
 不敵なだけだ。
「お前が気が付いたのはつい最近かもしれねーけどなぁ」
 言いながらぎしりとパイプベッドを軋ませて、下村が坂井の上に乗り上げる。
「俺は物心ついた頃からお前に惚れてるんだぜ? 今更浮気なんか馬鹿なこと考えるかよ」
 さっきまでの乱暴さとはうって変わって、きゅっと鼻を摘んでおどけたように言う。
「自惚れてもいいくらいだ。俺にここまで惚れられてるってな」
 へらりと笑った下村の笑顔を見ていたら、自分がうだうだと考えていたことが馬鹿みたいに思えて、坂井はどうしようもない苦笑を浮かべた。
「ばーか」
 坂井が照れたように小さく呟いた。
 思いのほかその呟きは下村を誘うような響きを含んでいて、しまったかなと内心で坂井は後悔してみる。
 その後悔をさらうように下村の口付けが降りてくる。
 不安を消していくそのキスに、坂井も何時の間にか夢中になっていた。
「覚悟しろよ。俺の数十年分の想いを見せてやるからな」


 言った通りに、下村は獰猛とも言える勢いで坂井の体を弄った。
 今までの情事はひょっとしたら手加減されていたんじゃないかと思うような乱暴さに、坂井の息もすぐにあがってしまった。
 シャツを剥ぎ取ると至る所に舌を這わせ、強く噛み、鬱血痕を遺していく。
 普段なら執拗な愛撫には嫌がる坂井も、今日は大人しくそれを受け入れている。
 時々、弱い箇所に歯をたてられて体を震わせて唇を噛んでいる。
 じとっとした室温よりも、お互いの体温の方がずっと高いのかもしれない。
 熱に溺れるように喘ぐ坂井に口付ければ、苦しいのか眉がきゅっと寄った。
「も……、下村っ、苦しい」
 何度目かの弱音。
 息苦しさに潤んだ目元が余計にそそるのに。
 まだ夕方時。
 お互いの部屋しか視界に入らない窓からは、赤く染まった夕陽の色が差し込んでいる。
 坂井の表情も下村の表情もはっきりと見て取れる。
 薄っすらと目を明けた坂井の視界には、ちろりと自分の唇を舐める下村の姿。
 ぼんやりとあの写真のことを考えた。
 思い浮かべると同時に、下村の後頭部に手をやって自ら口付けをねだっていた。
 もっと。
 もっと。
 そんな風に。
 貧欲にキスを求める坂井に下村も応じてやる。
 求めて伸ばされる舌を強めに噛むと、くぐもった呻き声で抗議してきた。
「心配しなくても、これからお前が嫌って言ってもキス何回でもしてやるし離せって言っても離すつもりないからな」
 低い脅すような囁きなのに、坂井には甘美に聞える声に背筋が震えた。
 放っておかれている下肢が悲鳴を上げ始める。
 もう一度、もどかしいだけになったキスをした。

 体をひっくり返してうつ伏せにされ、項から背中のラインを辿られる。
 散々に煽られた体は一度も達かせてもらえていない。
 手繰り寄せたシーツは乱れてしわくちゃになって坂井の手に握られている。
 下村が触るだけのことが苦痛でしかなくなる。
 下村は言ったことを実行しているだけのこと。
 坂井はそんな下村の想いを感じたいだけ。
「……はっ、あっ」
 肩を震わせ、坂井が堪らず悲鳴に似た嬌声が漏れた。
「下村、もういやだ」
 しゃくりあげるようになった声に応える下村は、優しく微笑んで涙で濡れた頬にキスをした。
 獰猛な獣のようだった先刻までの仕草が嘘のような柔らかいキスがくすぐったい。
「思い知ったか」
 子どものようにそんなことを言って、坂井が返事もできない状況なのをわかってか事をすすめる。
 腰を上げさせて、濡らした指を差し入れる。
 焦らされすっかり熱を持った体は悦んでそれを受け入れる。
 かき混ぜるように指を動かせば、体を弾ませて声を噛み殺す。
 そのうちに耐えられないほどの快楽に自ら腰を揺らしはじめ、乱れた呼吸に時々甘い悲鳴が混じる。
「後ろからでもいいか?」
 そんな問いを理解しているのかいないのか、必死で坂井は首を縦に振る。
 いじめすぎているという自覚がないわけではない。
 けれど止めてやることもできずに下村はうつ伏せになった坂井の腰を高く持ち上げて、素面でなら絶対に坂井の嫌がる体勢をとらせた。
 引き締まった双つの丸みを押し広げて猛った己を突き刺した。
「……っ! あ、あっ」
 肩を竦めて衝撃に耐える坂井の緊張を解すために、項や肩甲骨に唇を滑らせる。
 しなる体が逃れようとずり上がるのを抱え込んでより密着させる。
 立てたままの状態の膝が崩れそうになる。
 それも支えてゆっくりと腰を引いた。
 惜しむように坂井の内部が絡みついてくる。
 ぎりぎりまで引き抜いて、埋める物をねだる内壁の動きに応じて最奥まで突き入れる。
 繋がった箇所が濡れて、挿出を容易にしそこから濃い快楽を引き出す。
 坂井が喉を反らせて嬌声を漏らす。
 ぶるっと何度か激しく体を震わせた。
 顔を上げさせるように喉を辿るように触れると、幾らか大きめの声が零れた。
 背中が波打つように震えて下村の与える刺激を求めている。
 ゆっくりと引き抜いてはきつく絡み付く熱を味わい、乱暴なくらいに激しく打ち付ける。
 そのギャップに悶える坂井が何度も下村の名前を呼んだ。
 焦らすような優しいような、そんなやり方に焦れたのか自ら腰を不器用に揺らす。
「もう限界?」
 そう尋ねる下村の声にも余裕はない。
 坂井はずっと前から限界が近く意識も朦朧としているのに。
 奥まで入り込んたところで、円を描くように揺らされる。
「やっ、ああっ。もう、や、だ」
 もはや苦痛でしかなくなった愛撫を快楽だけに染めるため、下村はより深く坂井を抱きしめた。
 シーツを手繰る手に自分の手を重ね、呼吸を一つにする。
 高まりきった欲情を下村は坂井の中にぶつけ、その衝撃に坂井もまた篭った熱を放出した。


 情事後のどこかふわふわした思考に、下村が今日の出来事を問うと坂井はポツリポツリと話し始めた。
 その間下村は脱力仕切った坂井の体を綺麗にしてやり、汗で少し湿った髪の毛を梳いてやる。
 普段こんな行為を好まない坂井も、今日は大人しくされるがままになっている。
 熱いと言ってシーツをはぐろうとするのを、汗が引いたら風邪をひくからと言い聞かせて包み込んでその上から抱きしめる。
「熱い」
「空調効かせたから涼しくなる」
 ぐずぐずと文句を並べる坂井は、さっきから下村と目を合わせようとしない。
 抱き合っていた時も坂井はうつ伏せで顔を伏せていたから表情を見ていない。
「坂井?」
「んだよ」
 さっきまでの甘さはどこへやら。
 不機嫌な声が返事をする。
 なのに視線はあがらない。
「のぼせた?」
「何に」
「ん? 俺の溢れんばかりの愛に」
「……ばっかじゃねぇの」
 見ないでも手にとるようにわかる坂井の表情を裏付けるように、耳が赤く染まる。
 それでいてきっとどこか嬉しそうな顔をしているはずだ。
「安心した?」
「うっさい!」
「布団被っていじけてたくせに」
「誰がだよ!」
 挑発にのってがばりと顔を上げた坂井が見たのは、満面の笑みを浮かべた下村だった。
「やっと俺のこと見てくれた」
 へらりと笑って音をたてて額に口付ける。
 ますます今まで悩んでいたのがバカバカしくなってくる。
 学校までさぼったのに。
 体はだるいし、隣の男は機嫌が異常にいいし。
「……なんかムカツク」
「俺は嬉しいけどな。坂井、俺が思ってる以上に俺のこと独占したいらしいから」
 じゃれついてくる下村を邪険に押し退けながら、坂井は下村の言ったことを自覚する。
 なんだかんだ言いつつも、自分も独占欲の塊なのかもしれない。
 それをちょっとばかり悔しがりながら、下村を蹴ってベッドから蹴落とした。
 いいや。
 これから飽きるくらいに一緒にいるんだ。
 開き直ったとたんに押し寄せてきた心地良い睡魔に素直に身を委ね、坂井は下村の二度目の情事の誘いをよそにすやすやと深い眠りについたのだった。


 坂井の下駄箱に下村と女の子のキスシーンの合成写真を忍ばせたのが、実は坂井のことを密かに(でもなく)慕う親衛隊の連中の仕業であって、それを下村がボッコボッコにのしたことは後日の話で、それは坂井の耳には入ってこないままに終わった。


2001/06/11
10000HITの大量キリ番設定が逆に後々でご迷惑になったかしらと思うような感じであります(苦笑)ともあれ、うちの最多キリ番ゲッター・マイジュニア★藤原さんからのマイドのリク、エロでございました。
が、今回はエロ×3だったのですが、まったく及んでません!!杉山勝負に負けてます!!ごめんなさい!!ちょうどスランプもあったりして、なかなか進まなかったんです(>_<)
ですから、マイジュニア★藤原さん!!この次のリクのエロ×4では杉山の持てる限りのテクであなたを悶えさせます!!(ヤメナサイ)ですから、今回はこんなところでお許しください…あぁ(T_T)
坂井が嫉妬と言うことだったのですが、下村があれだけいちゃいちゃべたべたしてたら疑いようもないんですよねー(馬鹿っプル)エロ×3のかわりに立野先生と謎の用務員・藤木さんの登場で勘弁してやってくださいませー!!(脱兎)

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