※注意!!
この作品はBDの学園パラレルなお話しです。
バーテンとフロマネが幼馴染で退行してもらって高校生です。



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Love Love Love




 最近、坂井がもてる。
「坂井くん、放課後にちょっといいかな」
 とか、
「坂井―、バスケしに行かねぇ?」
 とか。
 学校に出てくる割合が高くなったからそれも影響しているのだろう。
 が、最もな原因は坂井がよく笑うようになったことかもしれない。
 担任教師・叶曰く、
「丸くなったし、可愛くなったし、色っぽくなった」
 だそうだ。
 なんにせよ、下村には面白くない。
 誰よりも早くに坂井の魅力に気が付いていたのに、それが今更露見して坂井に手を出す奴が増えている。
 とてつもなく癪だ。
 坂井に自覚がないのも大きいところだ。
 あれだけ喧嘩早く、そう言う危険な匂いには敏感なのに、こと自分自身に関しては無頓着。
 襲われでもすれば危機感を持つのだろうか。
「だからこんなところで寝るなよなぁ」
「こんなところってのは何だ、下村」
「先生の目の前ってコトですよ」
「失礼な奴だな」
 叶のことは無視して、下村は化学準備室のソファーで惰眠を貪る坂井を見下ろす。
 くうくうと穏やかな寝息をたてて、春の陽光の下で眠っている姿は猫のようで、微笑ましい。
「最近、もててるらしいな。坂井」
 くるくるとボールペンを回しながら叶がそんな茶々を入れる。
「何ですか」
「前とは違うだろう。周りに人が寄りやすくなった。もともと面倒見はいいタイプだからな。慕ってくる連中を邪険にもできない。お前はそれが面白くないんじゃないか?」
 さすがは担任。
 教え子についての諸々は見てはいるのだろう。
 坂井の変化だけでなく、その連れの下村の心情までも見抜いている。
「面白くないですね」
 だから下村も素直に暴露する。
「告白される回数も増えてるし、野郎共がやたらと構うし、先生たちは前からなんですけどね」
 不機嫌を露わにしている下村に、叶が可笑しそうに双眸を細めた。
「まぁ、仕方ないと思うんだな。お前が惚れるような奴なんだから」
「なんか釈然としないんですけど」
 歳相応の駄々を言う下村を叶は声をたてて笑う。
 そこへ、コンコンとノックの音が飛び込む。
「はい?」
「失礼」
 入ってきたのは秋山だった。
「叶、お前のクラスの生徒が骨折したらしいんだ。今、保健室にいるんだが、病院に連れて行ってやれだとさ。保護者への連絡はしておいた」
「ほう。なら行ってくるか。下村、鍵頼む」
 白衣を脱ぎ捨ててフェラーリのキーをとる。
 机の上の部屋の鍵を指差すと、あまり教師らしくない背中を見せて姿を消した。
 秋山もちらりと下村とソファーの坂井を見て頬を緩めると、そっとドアを閉めた。
 坂井はさっきから身動ぎもせずに眠っている。
 春眠暁を覚えずを通年で表しているようなものだが。
 ひっかかることが、一つある。
 今日の昼間のことなのだが。
 坂井の寝顔を見ていると思い出してしまう。


 今日の昼。
 坂井はクラスメートに呼ばれてバスケをしに体育館に行っていた。
 下村は丁度叶に雑用を押し付けられていて体育館裏の倉庫に足を向けていた。
 偶然は怖い。
 体育館に続く渡り廊下の脇にある水道の傍らに坂井の姿を発見した。
 声をかけようと思ったら、人影が坂井の正面にあることに気が付いた。
 下村のいた場所からは、坂井の後姿しか見えない。
 坂井の前に立っていたのは、坂井よりもずっと背の高い高岸と言う一つ下の学年のラグビー部のルーキーだった。
 以前、坂井と下村が帰宅途中にライバル校の連中に絡まれているところを助けたことがある。
 腕っ節は弱くはないが、新人戦前で不祥事は避けたかったから助かったと言っていた。
 それ以来、会えば話をするような仲だったのだが。
 その高岸が、不意に腰を屈めて坂井の頬あたりに触れる。
 目を疑う光景。
 坂井が自ら顔をちょっと持ち上げている。
 はっきりとは見えないが、その体勢は明らかにキスするときのもの。
 見てしまったその場面を、自分の中で現実だと認めてしまえないまま、午後の予鈴は鳴り響いた。


 午後の授業でも坂井の態度は相変わらずで、放課後も暇だから化学準備室に行こうと言い出したのは坂井の方だった。
 下村に対する態度はなんら変わりがない。
 二股かとか、浮気だとか、誰でも良かったのかとか、そんな考えが頭をぐるぐると回っている。
 普段なら坂井が辟易するほどの自信に満ちている下村もさすがに現場を目撃しては沈みもする。
 何が不満だったのだろうか。
 少なくとも、無理矢理といった雰囲気はなかったから、坂井もそれなりの気はあるわけで。
 俺の何が不満だったのだろうか……。
 ベッドの中ではけっこう嫌がることも無理矢理している。
 それが嫌だったのだろうか。
「……胃がいてぇ」
 顔を僅かに顰めながら、坂井の柔らかな唇に指先を這わした。
 可愛い顔してやってくれる。
 そう思ったら、なんとなく悔しくなってきた。
 俺はなんだよ、坂井。
 俺はお前にとってのなんだ?
 自問自答にしかならない考えを中断させるために、眠ったままの坂井に深く口付けた。
「……んぅ?」
 自分の口腔を弄られ、坂井が目を覚ます。
「……しもむら?」
 寝起きの掠れた声には答えず、一度体を離すとドアの鍵を下ろした。
 ついでに窓に一枚薄いカーテンを引く。
 暗幕もあるが、その下にある薄手のカーテンだ。
 それだけでは春の陽光は遮れず、室内は充分明るい。
「しもむら、なに……?」
 寝起きのはっきりしない頭と下村のいつもとは違う雰囲気の押されたのか、坂井はやや怯えたようにソファーの上に起き上がっている。
 嗜虐心がむくむくと湧きあがっている下村は、坂井の顎をとらえると間近にその双眸を近づけて言った。
「しよう」
 僅かに坂井が青ざめた。


「やっ……やだっ」
 坂井の抵抗はいつもよりも激しかった。
 半分肌蹴たシャツを懸命に手繰り寄せて下村を押し退けようとする。
「なんだよっ、しもむらっ」
「大人しくしてろよ」
「や……だって」
 首筋に顔を埋めて、坂井の抵抗する力を奪おうと弱い箇所ばかりを責める。
 息があがり、突っぱねようとしていた腕から力が抜けた。
「……うっ……い、やだ」
 それでも言葉での拒絶は途絶えない。
「何が、いや?」
 顔を合わさないまま尋ねれば、しゃくりあげるような呼吸を整えてから、
「学校じゃ……しない」
 答えた。
「へぇ? キスはいいのに?」
 口調に酷薄な空気を感じたのか、坂井の体が竦んだ。
 それを無視して何度も飽きるほどのキスを繰り返した。
 キスしか許してくれないのなら、キスだけで散々に煽ってやる。
 どんな愛撫よりも坂井はキスが好きなことを知っているから。
 それも、焦らすように啄ばむだけのキスが。
「ふ……ぅんっ、やっ」
 顔を捩って口付けから逃れようとするが、下村は鋭角な頤を掴んでそれをさせない。
 空いた手でそっとこめかみに指を滑らすと、ぽろりと流れた涙が指先を濡らした。
 深い口付けをしてほしくて僅かに解かれた唇からは、熱っぽい吐息と甘い嬌声が惜しげなく零れる。
 こんな坂井を、自分意外に知っている奴がいるのだとしたら。
 胸糞の悪い考えが浮かんできてしまう。
 突然止んだキスの嵐に、坂井が恐る恐ると言った風情で濡れた睫毛を上げた。
 どこか怯えを含んだ、しかし明らかに怒ったような表情は見えるものの、9割を占めるのが悦楽であれば怖くも何ともない。
 煽られるだけだ。
「そんな可愛い顔、他に何人に見せてるんだ?」
 残酷な揶揄に坂井が双眸を歪めた。
「……なにっ、馬鹿なこと言って………」
 濡れた唇が震えるように開いて言った。
 声までもが情欲に彩られていて、ぞくりと下村の背筋を這う。
 スラックスに下村の手がかかると、坂井が必死になってその手を止めようとする。
「下村、先生が帰ってきたら……」
「鍵、預けられた。よけいなことを考えないで溺れろよ。それとも、俺以外の方がいいか?」
 ずり落ちたシャツの下から覗いた肩のラインを煽るように撫でると、体が震える。
 抵抗はもう一切なかった。
 スラックスに手をかけ、剥ぎ取る。
 身につけているのは半分以上のボタンが飛んだシャツだけ。
 あられもない姿にさせられて、坂井が羞恥で俯く。
「なんなんだよっ……さっきから、妙なこと、ばっかり言って」
 胸元を弄る下村の愛撫にいちいち反応してしまいながら、切れ切れに坂井が訴える。
 下村のシャツに何度も握り皺をつくりながら。
「……今日、お前……」
 坂井の足の間に膝をついて、正面から坂井の腰に腕を回し胸に鼻先から押し付ける。
 坂井にはそれが甘えというよりは怯えの仕草にとれてしまって、好き勝手してくれたことへの怒りも忘れて躊躇いがちに下村の頭を抱いた。
「昼休み、高岸と一緒だっただろう」
「……あぁ」
「何してた?」
「……何って、バスケしてて、俺が目に何か入って洗いに行ったら高岸と会って……何か入ってないか見てもらっただけだけど………………」
「……………………………………………………あ、あぁ、そう……か」
「…………お前、まさか……」
 非常に気まずい沈黙が降りてきた。
 下村は今更まともに顔を合わすこともできないで、叱られることを怯える子供のように坂井に抱きついている。
 坂井は坂井で、こんな状況に追いやられた理由に思い当たって深い深い溜息をわざと漏らして下村の髪を揺らした。
「………………坂井ぃ……怒ったー?」
「呆れた」
「………………ごめん」
「ばぁか」
 くしゃっと坂井の手が下村の髪を乱す。
 さっきまで、尊大な態度で自分を翻弄していた男が、一瞬後には叱られた犬のように項垂れている。
「こんなこと……できるの……お前だけに決まってんじゃねぇか。ちったぁ、頭使え」
 素っ気ないお言葉に見えて、告白めいたそれに下村がやっと顔を上げた。
 本当かと尋ねるような目に、喜ばさせすぎたかと思いながら坂井は虹彩の薄い双眸に自分の姿を見た。
「抱かれんの、けっこうキツイんだからなっ。こんなこと誰とでもできるかっ!」
 照れ隠しに怒鳴る。
 それでやっと納得したのか、下村が笑った。
「俺だったらいいのか?」
「……お前だからだ、ばぁか」
 にやついてきた下村の顔から目を反らす。
 くっと下村が首を伸ばしてきたかと思うと、掠めるようなキスをされた。
「じゃあ、続きしてもいい?」
 確信犯なのか無邪気なのか判別しかねる。
 本当は校内は拒むところだが、散々煽られた体は下村を求めていて。
 坂井は下村の肩に顔を埋めながら小さく頷いた。


 体の中を探られる、慣れない感覚がやがて解されていく。
 体も、心の中も。
 初めて体を重ねてから数ヶ月。
 若さに任せて情事を重ねて、お互いの感じやすい箇所はだいたいわかってきた。
 特に下村は、坂井の敏感な反応にすぐにコツを覚えて的確に坂井を追い上げる。
 優しくゆっくりと中で指を蠢かすと、坂井がしどけなく首を振る。
「坂井、大丈夫か?」
 挿れるぞと言外に告げれば、何度も頷いて下村の背中を必死で抱き寄せる。
 ギシリとソファーが軋む。
 グランドでは運動部の声。
 時折、準備室前の廊下と賑やかな声が通り過ぎる。
「……ふ……あ」
 下村の肩に噛み付いて声を殺す、その痛みすら甘い。
 無理な体勢で繋がった躰を揺すると、何度も腰を震わせる。
 いつも以上に潜める必要のある声と学校と言う場所が余計に坂井を追い詰めるのか、ずっと感じやすくなっている。
「しもむらっ……、もうっ、やめにして」
 懇願するような囁きが吹き込まれる。
 これ以上だと声が殺せないのだろう。
 下村もいつもよりもきつい締め付けに余裕がない。
 額にかかる前髪を梳いてやってから口付けた。
「やぁっ……」
 そのキスさえも拒むのはよほど限界が近いのか。
 しゃくりあげて、下村のシャツを必死で掴む。
 それに応えるように下村は激しく坂井に体を打ち付ける。
「うぅっ……あ、しもむらっ」
 追い上げられる坂井が見せる、その蕩けるような表情を、自分しか知らないという優越を実感しながら、下村は深く坂井の体を味わった。



 校内に最終下校時刻を告げる放送が流れ始めた。
「……帰らないと……」
 下村がぼそりと呟く。
「……帰る……か」
 坂井ものろのろと起き上がる。
 キスマークののこる体をシャツで隠してはいるが、ボタンの飛んだシャツではままならず、肌蹴たシャツの上にガクランを着込む。
 体はまだだるく火照っているようだ。
「大丈夫か?」
 拾い集めたボタンは下村が自分のポケットに突っ込んだ。
 帰ってからチクチクと縫い物をすることになっている。
 自業自得なのだから仕方がない。
「だから、学校ですんのはいやだったんだ」
 ぎろっと睨まれてごめんと謝る。
 素直に今回は自分が悪いのだ。
 証拠隠滅をしてから、戸締りをする。
 鍵は叶の職員玄関の下駄箱の中に放り込んでおく。
 坂井を校門前で待たせて下村が自転車を持ってくる。
 だるそうな仕草の坂井が今日は下村の腰に抱きついてきた。
「坂井?」
「こっちの方が楽なんだよ」
 頬を擦り付けるような仕草。
 言葉のままなんだろうけど、その仕草はまるで下村だけに見せる甘えのようで。
 下村は盛大に頬を緩めた。


2001/04/09
8000HITは過去に「甘甘えろえろラブラブ」のリクエストをくださった藤原様からでしたvv
学園モノでのエロですが、いかがでしょうか。
ちょっと遠慮気味なエロですね(自爆)
学園モノは屈託なくエロが書ける(笑)ので楽しいですーvvどことなく王道ネタが……スミマセン、これしか思いつかなかったので。高岸は先生にしようか迷ったのですが、やはり後輩クンで。タイトルと

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