寒い日だった。
ソファーでいつの間にかうとうとしていた坂井は、体に何かをかけられるような感触に眼を開けた。
「……ん?」
ぼうっとした視界に、蛍光灯の光を受けて金色に近くなった髪の毛がちらついた。
「起こしたか。わりぃな」
低い声が聞えてくる。
ふわりと頭を撫でて台所の方へ向かう。
「ソファーでうたた寝するなって言っただろう? 寝るんだったら、暖房もう少し強めてから寝ろよ」
小言を吐きながら、下村は提げていた買い物袋から中身を出して冷蔵庫に並べている。
起き上がってみると、ソファーに転がった時刻から二時間が経過していて、外は雨が降っているようだった。
窓の外はもう暗い。
確かに、室温はひんやりとしていて寒い。
身震いした体の上に何か掛けられているのに、やっと気が付いた。
明るい水色一色のブランケットだ。
「下村。コレ、どうしたんだ?」
手触りの柔らかなソレは薄いのに温かい。
「お前が何度言ってもそこで寝るから買ってきたんだ。バーテンに風邪をひかれたら、代理探すのも大変でな」
皮肉な表情を浮かべたまま、台所から下村が坂井を眺めている。
その心遣いが嬉しいやら恥ずかしいやら照れ臭いやらで、坂井の頬が紅潮する。
そんな風に思われるのに慣れていない。
「暖かいだろう?」
そんな坂井の様子に、下村は満足して笑みを浮かべている。
女じゃないから、気の効いた装飾品のプレゼントもいらない。
そんなことをしたら逆に激情されそうな気がする。
だから下村は、たまにこんな日用品を買ってくる。
相手を綺麗に見せるために与える装飾品よりは、お互いに生活を共にするために手にする些細な物を与えた方が、自分達には合うような気がする。
ここで、二人で生活していくその証拠に。
レナのコーヒーには激しく劣るが、下村がインスタントのコーヒーをいれて坂井の隣に腰を降ろした。
シンプルなデザインで色違いなマグカップも、下村がいつの間にか買い揃えた物だった。
「ホラ」
「ん」
食器棚を見ても、最初は一人分だった皿だとかが、二組ずつ揃えられていたりする。
なんだか新婚夫婦の部屋のような雰囲気さえするのは、下村がそーゆー甘さを求めているからだろうか。
「晩飯何する? 朝はお前が作った、晩飯は俺が作ってやる」
つらつらと部屋を見回してそんなことを考えていた坂井は、隣り合わせで座っているのが気恥ずかしくなって立ち上がる。 なのに、下村は坂井の手を引いて引き戻す。
「なんだよっ」
「セオリー通りのフリをくれるな、坂井。晩飯なんにするって聞かれれば、お前って言うしかないだろう?」
「はぁっ!?」
素っ頓狂な声を上げた坂井をソファーに押し倒す。
折角のブランケットは体の下だ。
「下村、やめろっ!」
「晩飯は作ってくれるんだろう?」
「そうだよっ。だから、離れろよ!」
「お前を食わせて」
「ふざけんなー!!」
もう違和感すらない左手の青銅を上手く使って、下村は坂井を追い詰める。
的確に坂井の弱い所ばかりを弄る手に翻弄されて、坂井の体は熱を帯びてくる。
「んっ、しもむらっ」
甘ったるくなった声は余計に下村を煽るのに、坂井は気付かないままだ。
坂井の抵抗する力が弱くなったトコロを見計らって、下村は勢いに任せたような愛撫の手を緩め、ゆっくりと坂井の肌を辿りだす。
焦らすようなその手付きの優しさと、肌蹴られた上半身が柔らかなブランケットに触れる感触に、坂井は苛まれる。
「シルクで愛撫されないと感じない女の話があったな」
下村もシャツを脱ぎ捨てながら揶揄するわけでもなく呟く。
坂井のシャツは中途半端に肌蹴たままだが、下村は気にした様子もなくジーンズを剥ぎ取った。
「素直に食われる気になったか?」
「……素直にならなくても、食う気だろう?」
快楽のために僅かに潤んだ双眸が艶かしい。
すっと、下村のブロンズが首筋を撫でる。
まだ冷たいその感触に、坂井がピクリと反応する。
その反応を観察するような下村の視線。
それが追えるのは、リビングの電気が明々と灯っているからだ。
左手がブランケットに触れている項に回る。
硬質な感触と柔らかな感触に翻弄される坂井の双眸は、無意識に閉じられている。
舌先だけで唇を開けるようにほのめかせば、薄っすらと双眸を開いて下村の表情を確かめるようにしてから、固く結んでいた唇を開いた。
「舌、出せよ」
尊大な言い方に抗議するような一瞥をくれてから、それでも言う通りに赤い舌先をちらつかせてきた。
ほとんどニセモノの歯になったソレで緩く噛めば、びくりとして硬直してしまう。
貪るようなセックスもよくするが、こうして味わうように坂井を抱くのも下村は楽しんでいる。
普段、無表情だったり素っ気なかったりする坂井の乱れた姿は、下村の独占欲を大いに満たしてくれる。
快楽を求めるだけの行為ではなく、坂井の感じている顔を一つ一つ追っていくその過程をも下村は楽しむ。
愛しい。
その思いが、下村にそうさせる。
差し出された舌に自分の舌を絡め、吸い上げる。
きゅっと坂井の眉間に皺がよった。
わざと唾液のたてる音を導き出せば、過剰な音に下村の仕業と気が付いて舌に噛み付いてきた。
「痛っ。噛むなよ、坂井」
「うるせぇ。ヘンタイ」
舌ったらずの声で言われても怖くない。
舌を出して誘えば、軽く先だけ触れさせてきた。
「つれないな。もっと積極的にこいよ」
「お前の舌、やらしいんだよ」
「誉め言葉だな」
笑って言って、口腔を弄った。
「……ふ……あ」
しつこく呼吸を乱そうとする口付けから逃れようと、坂井は首を振る。
「苦し……っ。お前っ、俺を窒息死させる気か?」
下村の額と顎を掴んで引き剥がすと、余裕の顔で見下ろしてくる。
「息継ぎが下手くそなんだよ。坂井は」
クスクスと坂井の癪に触る笑い方をしながら下村の指が、坂井の唇を拭う。
言われた坂井は憮然として、下村を見上げている。
「ムカツク」
機嫌を損ねかけているらしい。
このままでは、もうやめるとでも言いかねない。
意地っ張りなことしか言えない坂井の口がこれ以上の強がりを言えないように、下村は愛撫を再開した。
わざと中心には触れないで、背中や腰の辺りを撫でさする。
肉体的な痛みなら坂井も耐えられる。
だから、いくらか乱暴なセックスなら楽なのだ。
なのに、この男は。
坂井のそんな習性を知っていながら、わざと優しく優しく事をすすめる。
そう言う焦らしに坂井が滅法弱いことも、慣れないことも知っているのにだ。
固く結んで声を漏らすまいとしていた唇は解かれて、熱い吐息と共に甘い喘ぎを零す。
「坂井、イイならイイって言ってみろよ」
唆すように言葉を投げる。
すっと切れたように終わる目が嫌悪感を滲ませて、自ら下村の首筋に手を這わす。
擽るように耳朶に触れ、項に移動する。
言葉を口にするよりも、行動に出る方が簡単にできるらしい。
本当に意地っ張りな野郎だと、下村は苦笑を浮かべる。
誘われるままに再び唇を合わせれば、今度は逃げない。
まさに獣を飼い慣らすような行為だと下村は思う。
危険を伴うがやめられない。
その毛並みの感触や、時に見せる甘えやしなやかさが病みつきにさせるのだ。
サドの気は自覚していたが、ひょっとしたらマゾな部分もあるのかもしれない。
ぼんやりとそんなことを考えていると、焦れたのか坂井がぎゅっと抱きついてきた。
どうやら、火はついたらしい。
「な、ここ狭い……」
羞恥に目元を染めながら、寝室に誘おうとする。
思わぬ誘いだが、下村の胸中にいじめたいと言う欲望がわきあがってきた。
「ここでいいだろう? 俺はあんまり余裕がないんだけど」
起き上がろうとするのをやんわりと押さえ込んで言う。
困惑した表情が浮かんでいる。
「狭いんなら、坂井が上になればいいじゃねぇか」
さも当然のように言ってやると、坂井が一瞬で真っ赤になった。
「なにっ……!?」
「狭いんだから、それが一番効率的だぜ? それとも止める?」
寝室以外のところでの情事も初めてなのだ。
下村は確信犯的な賭けにでた。
ぐっと唇を噛む坂井をあやすように首筋を擽り、こめかみから後ろに髪を梳く。
返事はもどかしそうに下村の肩を抱いた、その手の熱だった。
下村が買ってきた、綺麗な水色のブランケットは床に投げた。
その周りに二人分の服が散乱している。
リビングの明かりはついたまま、お互いの表情を照らし出す。
雨音が僅かに聞えていたが、快楽に支配された意識では聞き取ることもできない。
聴覚にひっかかるのは、互いの乱れた呼吸と濡れたいやらしいその音だけ。
本当なら夕飯の時間。
お前を食うと宣言したように、下村は思うままに坂井を貪った。
つけるなと言ったのに、首筋や項にまでくっきりとキスマークが刻まれている。
「んっ……しもむらっ」
助けを求めるように名前を呼ばれる。
熱い吐息が肩口にこもっている。
坂井は下村の肩に顔を埋めている。
「坂井、欲しいんだろう?」
言い聞かすように言えば、半分意識が飛んでいるせいか下村の肩に額を押し付けたままこくりと一つ頷いた。
下半身に力が入らなくなるほど、焦らして蹂躙した。
下村の膝の上に乗らされて、身を焼くほどの羞恥に坂井は下村と顔を合わさない。
それでも欲望に逆らえず、自ら腰を浮かして下村を受け入れようとするが、下村のものが触れると竦むように体を浮かせる。
「しもむら、もう……やだ」
自分から、下村を受け入れることに激しい抵抗があるのだろう。
普段は誘うところから最後まで受身の立場で、自分から行動しようとしない坂井だ。
下村の手を受け入れることには少々だが慣れた。
組み敷かれていることを、下村のせいにしてしまえたからだ。
そのことに下村も気付いていた。
素直にはなれない坂井に、それ以上を求めるのも酷だし無理だと踏んでいた。
この機を逃してなるかと、下村は坂井の行動を待つ。
今にも崩れてしまいそうな腰をゆるく抱いて支える。
その手に僅かに力を入れれば、互いの屹立したものが触れ合い坂井が体を硬直させる。
「や……あ」
甘い悲鳴が耳を打つ。
「坂井」
促すように、坂井の鎖骨に歯をたてた。
「ふ……あぁっ。も……しもむらっ」
坂井が顔を埋めている右の肩が濡れている。
「達きたい?」
直截的な問いに坂井が頷いた。
「じゃあ、腰上げて?」
そっと坂井の頤を掴んで、顔を上げさせた。
過ぎる快楽ともどかしさに溢れた涙が、坂井の頬を伝っていた。
「気持ちよくなりたいだろ?」
頤から頬へ、舌を這わして薄っすらと開いた双眸をのぞき見る。
背中を引っ掻くようにしていた坂井の手が、下村の肩に置かれた。
意を決したようにそろそろと体を上げる。
下村が支えた腰を恐る恐る下村の上に落していく。
「う……あぁっ」
どうしても慣れない圧迫感に呼吸が引き攣る。
苦しそうに喉を反らした坂井の後頭部を捕まえて、引き寄せ口付けた。
坂井の呼吸がこれ以上切迫しないように軽く。
啄ばむようなキスを繰り返す。
口では決して言って貰えないが、下村は坂井が自分とのキスを存外にも好きなことを知っている。
セックスの途中のキスも、普段下村が何気なく仕掛けるキスも、機嫌を損ねると自覚しながらも我慢できなくてしてしまうそれも。
損ねた機嫌をとるためのキスも。
嫌がる様子は見せても、本当に嫌いではないのだ。
「ん……」
自分の体重がかかる体勢のせいで、いつもより深く繋がっている。
それが苦しいのか、坂井の表情に苦悶が浮かんでいる。
「痛い?」
さすがに心配になって問うと、坂井はしどけない仕草で首を横に振る。
いつもよりも押し広げられている感覚はあるが、下村が丹念に解したおかげで痛みはない。
むしろ、広げられた箇所の痺れが熱になる。
「大丈夫か?」
「……ん、だいじょうぶ」
甘くなった声。
下村はまた軽いキスをしてやって、支えるだけだった坂井の腰をしっかりと掴んだ。
ゆっくりと、絡みつく坂井の中を掻き乱し始めると、坂井が嬌声を零す。
以前は頑なに声を殺していたのだが、声を聞きたがる下村の前では行為を長引かせるだけだと思い知らされた。
「ふ……あぁっ。んっ……しもむらっ」
いつもよりも甘い声は、この体勢のせいだろうか。
濃い快楽に坂井が翻弄されている。
いやいやと子供のように首を横に振る。
この仕草はいつものもので、感情が昂ぶっているからだと下村はもう知っている。
掴んだ坂井の腰を引き寄せるようにしながら坂井の体を貪る。
時折突き上げれば、綺麗なラインを描く背中が反り返る。
目前で仄かに染まった坂井の胸に唇を寄せ、嬲る。
されるがままだった坂井が、もどかしそうに自ら腰を動かし始めた。
羞恥に染まった顔を、また下村の肩に押し付けて。
繋がった下肢から卑猥な粘着音がして、余計坂井を居た堪れなくする。
それでも、自然に動いてしまう腰は止めようがなく、そこから生まれる快感が思考を奪う。
「ふ、あぁ、ああぁっ……ん」
坂井を引き寄せる下村の腕の力が強まり、突き上げるリズムも早くなる。
乱暴な行為ではなく、坂井の弱い箇所を責めてくる確信犯的な動き。
蕩けそうな熱と濃密な快楽に、坂井が泣き声を上げる。
「うぁあ……もうっ、しもむら、だめ……」
坂井の手が下村に縋り、下村も限界なのか小さく呻く。
意識が白濁していく。
何も考えられない。
感じられるのは、互いの熱だけ。
内側に感じる熱い迸りに、坂井も下村の手中に欲情を放った。
背筋を駆け抜けた快楽がすっと離れていって、坂井の体が脱力した。
はぁ、と吐き出した吐息はまだ快楽の色を存分に含んでいて、下村の聴覚を刺激する。
無意識であっても。
「坂井」
優しく呼べば、物憂げに顔を上げた。
達した直後の顔も色っぽい。
普段坂井が浮かべない、どこか物憂げなその目が。
「ん?」
遠慮なく下村に体重を預けてくる、その行為が。
まだ潤んだ目と濡れて赤くなった唇が下村の眼をひく。
汗で僅かに湿った髪を後ろに梳いて、啄ばむような口付けを重ねながらだんだんと深いものにしていく。
坂井は抵抗もみせず、自ら舌を絡めてきた。
こくんと唾液を嚥下した坂井が、先にそっと目を開いた。
目を閉じた下村の、端正な顔が間近にある。
離れていく唇を気紛れに追っかけて、ちゅっと軽く合わせて離した。
ばちっと下村が目を開けた。
秒速での反応に、坂井の方が驚いてしまう。
「……んだよ」
「……いや、お前、今、俺にキスした?」
信じられないとでも言いたそうな下村に頷くと、困惑の表情を浮かべる。
思わずむっとした。
「なんだよ。俺がしちゃ変かよ」
「だってしないだろう? お前からなんて、コトの最中でもなきゃ」
「そうかな?」
下村の仕掛けるキスに、いつも夢中にさせられるからわからなかった。
とは思ったが、口にはしない。
不意に下村が体を前に倒そうとする。
「やぁっ……」
繋がったままの箇所が刺激されて坂井が喘ぐ。
「あ、わりぃ」
「っ……なに?」
「汗かいてるから、風邪ひくだろ? シャツとろうと思ったんだけど、感じた?」
気が利くのか利かないのかわからない。
真っ赤になった坂井にクスクス笑って、下村の左手が背骨を辿りだす。
「わっ、馬鹿、もうやめろよっ」
「もうしない?」
「腹減ったんだよ!」
こんな時だけ素直な坂井の言葉に、がっくりと下村が項垂れた。
「シャワーも浴びたい」
「はいはい」
新婚ごっこを坂井との関係に求める方が間違いだったか。
体を離す時に甘く鳴く坂井の体にたっぷりの未練を残しながら、下村は思う。
脱ぎ散らかされた服を抱えてバスルームに坂井は消えた。
結局、晩飯は自分が作る羽目になってしまいそうだ。
坂井がさっぱりして顔を出して、交代で下村がシャワーを浴びてから二人して夕食になった。
昼間、台所でごそごそしていたのは下準備だったらしい。
夕食は思いのほか早く食卓に並んだ。
ロールキャベツにサラダなどなど。
なんだか、本当に新婚家庭の食卓だなと坂井は思う。
休日に、下村はたまにこんなふうに凝った料理をつくる。
いつもはチャーハンだとかパスタだとか簡単なものばかりなのだが。
おまけに赤ワインまで買ってきていた。
坂井は常々ワインの味はわからないと言っているのだが、下村は時々こうして買ってくる。
味のほどはわからないが、飲みやすいものを選んできてはいるようだ。
夕食を終えて、のんびりワインを傾けていると、蜜月、なんて言う単語が浮かんでくる。
同時に夕方の激しいセックスを思い出して、坂井は一人赤くなった。
涼しい顔して、新婚ムードを醸す洒落男を坂井がちらりと見た。
視線が合う。
その口元に、微かだが笑みが浮かんでいる。
柔らかで、どきっとするような微笑だった。
「なんだよ」
思わず尖った声を出してしまう。
「んー、俺はどうしてこんな意地っ張りに、ここまで惚れてるんだろうって思ってさ」
目を細めた下村に、やはりどきっとする。
気紛れに自分から仕掛けたキスに驚いていた下村の顔が不意に蘇ってきて、なんとなく。
本当になんとなく。
下村にほだされているような気もするけれど。
「俺も……なんでこんな気障で鼻持ちならない野郎に……惚れてるんだろうって思う」
言ってみた。
下村の顔を見ていられなくて、俯いて深紅のワインに視線をおとす。
下村がどんな顔をしているのか想像できなかった。
不意打ちのキスをした時のように驚いた顔だろうか。
それとも、さっきのようになんとも言えない優しい表情だろうか。
顔が熱い。
酔ったのかもしれない。
ワインと、過ぎるほどの甘さに。
「今日は出血大サービスだな」
「馬鹿野朗、本心だ」
「じゃあ、確かめてもいいか?」
俯いたままだった坂井の頬に、下村だけが持つ青銅の手が触れる。
似合わない、澄んだ透明感のある双眸がじっと坂井を見つめている。
ふっとその目が細められた。
愛しそうに。
「……どう、やって?」
「さぁ……どうやって確かめようか」
低く耳朶を擽る声は官能的。
二人用の小さなダイニングテーブルに体を乗り出す下村の頬を包んだ。
目を閉じる。
緩やかな曲線を描く薄い唇が想像できた。
やんわりと押し付けられる唇が甘いと感じるのは、自分がこの野郎にいかれているせいだろうかと思う。
外は雨がひどくなっている。
今はその雨音が心地いい。
まるで外界から切り離されたような寝室で、二人は何度も甘いキスを交わした。
その夜は雨のせいもあり、その冬一番の冷え込みだったことを、一晩中抱き合っていた下村と坂井は知らない。
2001/03/11
最初はブランケットに関するネタを書いていたのですが、シモム暴走。気が付けば18禁……。しかも、坂井……上ですか!(死)いや、一回は書きたかった体位なんですが……(腐) 読むのも好きです!
ちょっと、シリアスで痛い話しの更新が続いたので、ここで砂をどっぱーと吐いていてだこうと思いました。吐きすぎになっちゃうよ、これじゃ。新婚ごっこですね。どこぞの犯罪学者と推理小説家ではありませんが。なんか、突発的で事件の一つもないまま平和に始まって終わってます。やっぱ、エロ書くのは気力が要りますね。集中力も必要です(笑)