ルーツ・コンプレックス 10 (裏描写ありバージョン)


 薄墨色の空からか細い雨が静かに降っている。今日一日降り続くらしいが、海は穏やかだ。
 四月になって温かい日が続いているが、今日は少し気温が低い花冷えの一日となりそうだ。
 春休みが終わって数日。進級揃いの弟達に劇的な変化はない。今朝の雨は四恩の早朝練習を中止にさせ、四兄弟と春海と父とが揃って朝の食卓を囲む珍しい幕開けとなった。今日は宿泊客もなく、春海と一臣にもゆとりがある。
「おかわりー」
「シィ、食いすぎだ!」
「育ち盛りなんだよ!」
 時間的余裕はあっても心理的余裕があるわけではない。触れれば弾ける鳳仙花の種のような言い合いが、次から次へと始まる。
「カズ兄、今日、なんかあるの?」
 弾けては収束を繰り返す喧嘩の合間、三咲がカレンダーを見ながら素朴な疑問を投げてきた。宿の予約を記すノートの今日の日付は斜線を引いて、受け入れなしの体制にしてある。
「片付け」
「片付けー? ハルと二人で?」
「そうだよ」
「そういうのって、俺らにも手伝えって絶対言うのに」
「そんな大げさにしないから、二人で十分」
 あしらうような素っ気無い口調に、三咲が小さく頷きながら止まっていた食事の手を動かし始める。何か言いたげな目をしたが、兄の顔をたてるために黙ってやった。そんなところか。
 一世一代のプロポーズをしたからと言って、何をどう変化させられる関係でもない。ただ以前よりも春海は安心したような顔で笑うようになり、それを可愛いなと眺めるようになった。そう思うようになったのは一臣の中の変化だろうし、可愛いと思うまま手が伸びるのを、スキンシップが増えたと友人たちに指摘されもした。
 この関係を宣言したわけでも匂わせたつもりもないのだが、勘のいい友人たちは一臣が何を手に入れたのか気付いたようだ。ニヤニヤしながら一臣の腕を突き、とうとう落ち着いたかと茶化してくる。
 光子は悩みぬいた末に春海の若年会Tシャツのキャッチコピーを“栄月館若板前”として“若旦那の相方”と言うフレーズを添えた。
 その光子と落ち着くはずの幸太は、飛び込み台の端っこの爪先を引っ掛けながら躊躇して躊躇して、それに焦れた光子が切れて他の男の告白を受け付けてしまった。お互いの気持ちをどこかで察しつつも素直になれず、他の子の手をとってしまうこれまでと同じパターンでまた迂回を始めた。そんなわけで、幸太はもう暫く生煮え男の称号と付き合うことになった。
 申し訳ない、と項垂れながら一臣の肩に手を置いた親友に、こちらこそ先に幸せを掴んで申し訳ないと返せば、なんて嫌味だと逆切れされた。失恋男の扱いは難しい。

 幸太には申し訳ないが、一臣はもう少し幸せの濃度を高めようと決めた。
 今日、春海を抱く。
 そのための一日休業。実は早いこと弟達と送り出してしまいたいのだが、悟られるのも兄のがっつき具合を見せるようで癪だから平常通りの自分を装って味噌汁を啜る。
 三人の弟の中でも最も鋭い三咲には気付かれたかもしれない。二葉は女癖が悪いが、こういう機微に敏感になれる恋愛はしていないだろう。
 春海と四恩の他愛のない野球話がおさまったのを見計らい、
「ハルちゃん」
 元幸が声をかけた。
「晩ご飯、リクエストしてもいいかな」
「はい。何がいいですか?」
 珍しいことを言い出すと、兄弟の視線を受けた父親は一臣の度肝を抜いた。
「お赤飯が食べたいなぁ」
「……ぐっ、ごっ……」
 おかげで味噌汁に噎せた。
「きたねぇなぁ」
「何動揺してんの」
「だせー」
 苦しみながら目を向けた先、相変わらず温和な顔で父はパリパリといい音を響かせて漬物を噛んでいる。
 腕っ節もフットワークも威圧感も自信があるが、どんなに頑張ってみたってこの父親にだけは敵わない気がする。長男と甥が道ならぬ恋をしていることすら見守っていられる包容力には勝てない。
 自分が信じるに値すると思った者に対し、揺るがない信頼をどんな状況であっても注げるのは意志の強さによるものだろう。静かなようで、穏やかなようで、実は激しく強い男。ある程度の力を持ったと自惚れてなんていられない。遠く高い目標が傍にある。
 その父を送り出し、続いて弟達を追い出す。
 雨の中に蹴りだすような仕打ちにブーイングの声をあげていたが、何を思ったのか三人揃って振り返り、親指を突き出す仕草を見せた。
 グッドラック。
 何もかもお見通しか。参ったと額に手をやった兄貴の姿が悦に入ったのか、コロコロとじゃれ合いながら、雨の通学路に青色のグラデーションになる傘の花を三つ咲かせて駆けて行く。

 栄月館にはサラサラと降り注ぐ遠慮勝ちな雨音が響く。厨房からは朝食の片付けをしている春海の気配と物音がする。
 春海は、何も気付いていないらしい。
 好きだと伝えた男が、これまで居間で寝起きしていた春海の寝床を自分の部屋へ移させて尚、性的な手出しはしていないことを不思議に思わないのか、焦れないのか。
 性的欲求に素直なはずの一臣が、春海に自分のことを好きだと打ち明けさせて据え膳とも呼べる状態にしておいて手を出さないのにも理由はある。
 友人たちが指摘するとおり、保護欲も独占欲も強い一臣のこと。一度手を出してしまえばぎゅうぎゅうと抱きしめて甘えて、どろりと重たい蜜のような愛情に春海をどっぷり漬けてしまう。それに甘んじて崩れてしまう春海ではないだろうが、息苦しいと感じさせてしまうかもしれない。
 それが怖くて出しあぐねていた手だが、性欲も三大欲求の一つだ。耐えるのは難しい。可愛いものは抱きしめたいし、これが気持ち良さそうな顔をすればきっと綺麗だろうと想像したら止まらない。隣の布団のあどけない寝顔を見て悶々としていたのだが、どうせ我慢ができなくなるのだから決めてしまおうと開き直って計画を練った。
 夜が理想だが、この大家族が同居する家では難しい。夜にホテルへ出向く手もないことはないが、春海を抱くならこの家の中だと思った。ならば昼、弟達の学校が始まって、父親も仕事に行く平日。客は、まったく身勝手な事情だが休業とさせていただこう。
 同性とのセックスは初体験になる一臣は下調べもした。傷つけない方法、気持ちよくさせるための準備も頭に入れた。何事も最初が肝心。

 そこまでお膳立てをして迎えた今日。
 柄にない緊張を覚え、煙草を銜えて縁側から庭を眺めた。上空を覆う雨雲のせいか、部屋の中も薄暗い。いつも賑やかな空気が漂う界隈も、各戸が雨のベールに覆われて閉ざされているようだ。
 こういう閉塞感が、実は嫌いではない。観光地で生まれ育ち、人の来訪を商売の糧とする一臣には似合わない感慨なのかもしれないが、自分の大事なものだけこの家に閉じ込めていられたらどんなに安心できるだろうと思うことがある。
「いい雨だね」
 洗い物を終えたのだろう。春海が隣に立った。
「静かだし、なんだか、閉じ込められてるみたいだ」
 古い木枠の窓縁をなぞる横顔を見下ろす。
 手を伸ばして自分の腕の中に招きいれ背後からすっぽり抱きすくめると、春海はおずおずと体の力を抜いて自分の腰を抱く腕に手を添わせる。目を閉じた表情がガラスに映って、口唇が緩やかなカーブを描いているのが見えた。
 頬に当たる柔らかな髪の毛の感触を楽しみながら、耳元に口付けた。まだくすぐったそうに笑っている表情に色を足したくて、ぐるりと腰に回した手を体側のラインを辿るように動かしてみた。
 春海はふっと息を詰め、いつもと違う動きを見せる一臣の意図を測りかねて視線を彷徨わせている。
 同じ部屋で寝起きして、時々奪うように口付けてみたり抱きしめてみたりのスキンシップは仕掛けても、セクシャルなニュアンスを伝える接触をしてこなかった男に何を感じていただろうか。満足なのか、不満なのか。
「カズちゃん、今日、は? 忙しいから、休みにしたんじゃないの?」
「今日は、春海と過ごす日」
 どういう意味かと見上げようとした鼻先にキスをして、
「セックスしようかと思って」
 至近距離で囁くと、腕の中の体が一気に硬直した。
 間近で見開かれた瞳が水を張ったように潤み、頬が赤みを増す。わかりやすい反応を示した後、不意にはっとした顔をする。
「せ、赤飯って、そういうことっ?」
「明るい家庭内恋愛だろ」
 真っ赤になった春海の耳朶を摩ると、ますます体を小さくしてしまった。手の甲で触れた首筋の脈も、心配になるほど早い。
「もうちょっと待つか?」
 止めとくか、などと言う選択肢は与えない。こんなずるい男が春海は好きらしい。
「ううん。……したい」
 振り絞るような返事は今日の雨音よりも密やかに一臣の胸中を潤して、草木を茂らせ花開かせる。





 頷きはしたが緊張で動けない春海の手を引き促した自室は、春海が寝起きするようになって随分と綺麗になった。
 六畳間に二人は手狭だが二人とも荷物が多い方ではないし、寝て起きれば部屋にいることはほとんどない。二人分の布団が敷ければ十分だ。これまで万年床だった布団も、春海が移ってきてからはちゃんと隅に畳むようになった。
 畳んだばかりの布団を一組、どうも生々しい行動ではあると思いながら再び敷きなおす。
 朝っぱらから、と引けてしまう気などない。
 布団の上に胡坐をかいて立ったままの春海を手招きすると、ギシギシと音を立てそうなぎこちない動きで一臣の前に正座した。
「そんなに緊張されると、うつる」
 言いながら無造作に伸ばした手でパーカーのジッパーを引き下げてやる。
「好きだって言った割りには手を出さないチキン男だなぁ、とか思ったりした?」
 春海は首を横に振る。
「セックスまでは考えてなかった?」
 今度は数秒の躊躇いの後に同じ動作で否定する。
「……やっぱり男同士だから、そこまでは嫌なのかなって」
 消え入りそうな声で告げられた思いを深読みすれば、
「それは、したかったってことだよな?」
 今度は縦に首が動いた。
「俺はもうずっと、カズちゃんのことが好きだったんだ。カズちゃんが思うよりずーっと前から」
 そして羞恥を振り切るような強い視線を向けてきた。睨んでいるつもりなのかもしれないが、可愛くてたまらない。
 先に自分が上半身裸になってしまうと、春海も覚悟を決めたように自分でパーカーを脱ぎ下に着ていたTシャツにも手をかける。脱ぎかけたところでふと窓に目をやり、手を止めてしまった。
「雨だから、いいだろ。二階だから誰にも見えないし、カーテン閉めたって朝だから見えるもんは見える」
 開けっ放しのカーテンからは灰色の空と細い雨の糸が見え、薄暗いと言っても相手の表情も肌の色も十分みてとれる。
 戸惑う春海の手に自分のそれを添え、Tシャツを脱がせて白い肌を白日の下に晒す。
「白いなぁ」
 象牙色の肌は皇かで、ふんわりと桜色がさしている。
 肉体労働や海洋性スポーツのインストラクターを務めて出来上がった一臣の硬く厚く締まった体とは違い、春海の体はほっそりしている。だが料理は繊細なだけではできない。重い食材や鍋を扱うだけあって、触れた二の腕は締まっている。女性のような柔らかさはないが、手の平に伝わる肌の感触が気持ちいい。
 何度も撫でていると、春海が息を止めた。
 見上げてくる瞳は確かに欲情していて、その目にそれよりも獰猛な目つきをした男が映っている。
 所在なさげだった春海の手が一臣の腕に絡まり縋る。たったそれだけの素肌の触れ合いで、感極まったように春海の喉が上下する。
 あぁ、この子は自分に心底惚れているのだと教えられ、優しくしたいと言う理性が本能に凌駕されそうになる。
 腹の奥を葛藤で煮立たせながら触れた口唇は互いに少し震えていた。
 柔らかな弾力を確かめるように啄ばんで、満足するとぬっと舌を差し込んだ。
「ん……っ」
 一瞬怯えた春海も、経験がないわけではないだろう。口唇を噛むようにしていると、縮こまっていた舌が誘われたように伸ばされた。
 濡れた感触を伴った触れ合いは一気に二人の熱を高め、息が上がった。
 二歳年下の可愛い従弟。自分だけに懐く仔犬のような存在に感じていた優越が、もっと生々しい欲望に形を変えていく。
「ん……ぁ、ふ、ぅん……っ」
 合間に与えた息継ぎで整える呼吸に、艶っぽい音が混じる。
 緊張が解れてきた体に愛撫の手を伸ばすと、その手から逃れるように抱きついてきた。
 特に平たい胸の尖りに触れるのが感じるらしい。隠すように胸を合わせて、ほっそりした腕を背中に回してきた。ならばと背中や脇腹を撫でていると、そこも感じるのかどんどん体温が上昇してくる。
「そんな引っ付いたら、舐められない」
「あっ……、あ、や……だ」
 言葉一つに感じるのか、背中に回った手に力が入った。いつも清潔に整えられた手が傷をつけることはないが、もどかしげに何度も縋る動作は愛撫に似ていて一臣を昂ぶらせる。
 この肌の味を知りたいと、肩を掴んで二人の間に少し距離をとる。無理に引き剥がした仕草は決して優しいものではなかったが、そういう強引さも春海には悦びに変わるらしい。
「カズちゃんっ」
 怯えと期待が入り混じった視線の前で舌なめずりを見せ、震える胸元に口唇で触れた。
「あぁっ、あ、んん……! ふ、ぁ、や……っ」
 小刻みに舌を動かしてどんどんとしこる変化を楽しめば、頭上から甘い悲鳴が上がった。少し歯を立てるとビクビクと腰が震える。
「感じる?」
「ぅん……っ、カズちゃんに、触られてるって、思ったら」
 それだけで、と春海が腰を捩った。
 可愛い、可愛がりたいと、自分でも持て余すほどの欲望を春海はどこまでも吸い取ってくれる。
 たまんねぇな、と言葉にならないような興奮を覚える。
 縋りつく体を布団に横たえさせると、狭苦しさを訴える自分のジーパンをまず脱ぎ捨てた。
 一臣の全裸を前に春海がかっと頬を染める。口付けと春海の発した声だけで、一臣の下半身は熱を持って起き上がっていた。
 圧し掛かり、春海からも全ての布地を取り去ってしまうと、ふと忘れそうになる春海の性の象徴が薄い茂みの中で一臣と同じような興奮の兆しを見せていた。
「……やべー、なんか……、もう、暴走するかも」
「いい、よ。カズちゃんいなら、何されたって、俺は嬉しい」
 自分で自分の興奮を茶化して冷静になろうとしたのに、春海がそれをぶち壊す。慎ましいようで破壊力抜群の口唇を触れると同時、闇雲に春海の肌を探り始めた。
「ぁん、んんっ、あっ……はぁ、ん……、……カズちゃんっ」
 飲み込もうとする喘ぎを口付けで吸いだして、もう丁寧さも順序もセオリーもなくただ体全体で春海の肌の感触を味わい、聞き心地の良い声を引き出そうとする。自制心は春海の情の激しさを言い訳にして捨てた。
「……あっ」
 膝を掴んで左右に割り、自分の体を割り込ませる。そうしてじわりと濡れた性器を合わせると、春海は目を見開いて腿をさざめかせる。
 一度達してしまわないと、お互い興奮の度合いがきつすぎておかしくなる。二人の性器を包み込んだ手を上下させると、春海の腰が布団から浮かび上がった。
 重ねた口唇の間で舌を絡めれば、溢れた唾液が春海の顎を伝い落ちる。同じように擦れあう下肢も濡れ、春海の先端からはトロトロと白い粘液が湧き出してきた。
「ふ、ぁ、あ、カズちゃんっ、俺、も……。いっちゃ、いっちゃう……!」
 上も下も同じようにねっとりと濡れ、互いの存在をより生々しく感じる。表面だけでなく、濡れた内側に入り込んでしまいたい。
 口唇に食いつくような深いキスで、喉から溢れる声を空気に触れさせるより早く飲み込んでいく。
「んー、んぅっ、あ、ふぁっ……、んんっ」
 春海がきつく目を閉じたまま先に射精する。びくびくと体を震わせる春海の恍惚の表情は、普段の穏やかな表情からは信じられないくらいに艶っぽい。
 耳を打つ声にも手の中を濡らす体液の熱さにも高められ、一臣も二人の体の間に白濁の体液を吐き出した。
 肉感的な刺激は自分の手で施したが、自慰など比べ物にならないほどの快楽が背筋を貫いた。
 余韻に浸る春海の額や鼻筋に口唇を寄せると、とろりとした笑みが浮かんだ。
 上がったままの息が頬を滑るのがくすぐったいと小さく笑い、自分の濡れた腹部を指先でぐるりと撫で、散りばめられた二人分の体液をかき混ぜた。
「あー、すげー、かわいい」
 敗北感さえ覚えて思ったままを吐き出せば、春海はあどけなくはにかんだ。
「入れて、いい?」
 どんどんと元気を取り戻す下肢に急かされるように伺うと、
「ん……。俺……、そこまでは、あんまりしたことが、ないから」
「そうなの?」
 嬉しくなるようなことを言う。
 男同士でセックスするからと言って、それが必ずしもアナルセックスとは限らないらしいことは事前学習で学んだ。
「だから、あんまり、カズちゃんのこと、気持ちよくできないかもしれない」
 慣れていないからとしょぼくれる春海は、しっかりしているようで少し天然な部分があるのかもしれない。一臣のことが好きすぎて、尽くそうとしすぎて、感覚が少しおかしいのかもしれない。
「入れるの、怖かったら止めとく」
「怖くないよ。怖くないけど……」
「ここまでで満足できればお前に負担かけないんだろうけど、俺はちょっと、考えが古くて支配欲が強い。お前の中に踏み込んで征服したいって、そういう欲求はある」
 現代を生きる男として最低だなと我ながら思うけれど、困ったことに春海はそんな自分がいいらしい。
呼吸を震わせて抱きついてくる。
「春海はどっちかっつーと、確かにMっ気が強いね」
「カズちゃんだからだよ。優しいの、知ってるから」
「じゃあ、その信頼に応えられうように優しくするから、続き、するぞ」
 最終確認に春海は躊躇なく頷いてくれた。
 足を開いてと促せば、恥ずかしがりながら従う。二人が放った精液を指に絡ませ、繋がるための入り口へと指を触れさせると、さすがに春海は緊張した。
 ぬめりを感じさせながら入り口を何度も撫で、徐々に内側へと粘液を運ぶ。
「んあ、ん……っ」
 さっきまでの愛撫には見えなかった眉間の皺が、春海の綺麗な顔に刻まれた。早くそれを蕩けさせたいが、焦っては傷つける。異物感を察知した春海の体はきゅっきゅっと侵入物を締め付けて拒もうとする。
 怯えたように閉じたがる足は、間に一臣の体を挟んでいるから叶わない。空いた左手で腹部に残ったぬめりを塗りこむように薄い腹から胸にかけて広げると、異物感と必死に戦っていた春海は、与えられた別の感覚に噛み締めていた口唇を解いた。
 首筋に舌を這わせ耳朶を甘噛みすると、指を締め付ける壁が一瞬緩んでまた絡み付いてきた。そうやって気を散らしながら進んだ狭い内部は、徐々に拒否反応とは違った反応を見せ始める。
「春海」
「ん、ん……んっ」
 耳朶を噛みながら名前を呼ぶと、肩を竦ませて耐えるような素振りを見せる。この声にすら感じるものがあるのかと思えば、喉が甘くくすぐられるような喜びを感じる。
 含ませただけの指をゆっくりと引くと、内部の壁が複雑に蠢いて締め付けてくる。それをまた押し戻す。春海の表情を見ながらその単純な動作を続けていると、眉間に寄った皺が消えて別の表情に塗り替えられる。
「気持ちよくなってきた?」
 こくりと上下した顎先が、一臣の指が最奥の一点を掠めた瞬間仰向いて、爪先がきゅっと丸くなった。
 わかりやすい反応につい笑ってしまったその声は、獰猛な野獣の唸りにも似て自分の耳に届いた。
 春海はどう思っただろうか。隠し切れない快楽に濡れた瞳で一臣を見上げてくる。
 野生の草食動物は、肉食動物に捕らわれて鋭い牙を身に受ける瞬間、エクスタシーを感じるのだと聞いたことがある。そりゃどう考えても肉食動物側の立場にたって考え出された勝手な理屈だろうと呆れていたが、春海を見ているとそうかもしれないと錯覚できてしまう。
 そんな錯覚で捕食する獲物は、春海以外にいないから上手くおさまるのだけど。
 その目を見ながらやや強引に二本目の指を侵入させる。さすがにきつく締め付けられたが、口唇を舐める他愛ない愛撫でそれも和らぐ。
「あ……っ、やっ、あ、あぁ!」
 指先は深く入り込ませたまま入り口を拡げるように手首を動かすと、春海にもその目的が知れるのだろう。体の表も内側も波打たせ、自分で作り出す波に勝手にさらわれてしまわないよう一臣の背中に指を食い込ませる。
 ゆっくりした動きから抜き差しを早めても、春海は苦痛を訴えなかった。
「……カズちゃん」
「ん?」
「も、いいよ。平気」
 そう囁きながら春海の手が一臣の昂ぶりきった剛直に触れる。中指だけでなぞり上げられ、重い溜め息が出た。
 一臣は敷布から手を伸ばして届く場所に用意していた正方形の包みを一つ手にして、封を切る。潤滑剤に濡れたゴムを取り出そうとすると、春海の手がそれを攫ってしまった。
 器用な指に薄い皮膜を施される。今まで相手にゴムの装着などさせたことがなかったが、目元に隠しきれない欲情を湛えての所作はたまらなくそそるものがあった。
「お前は、なんか……、俺のものになるために生まれてきたんじゃないの?」
 情事に関する一臣のツボを春海は見事なくらいに押さえていて、それを無自覚のままに実行してしまう。目眩がするような光景に、こんなに幸せなことがあっていいのかと不安にすらなる。
 それは春海も同じなのかもしれない。涙の膜を貼った目を細め、
「だったら、嬉しい」
 綺麗な笑みを見せてくれた。
 その身から指を抜き取ると、一度は閉ざした蕾がヒクヒクと喘ぐように開閉を繰り返した。
「あ、あんまり、見ないで」
 手で入り口を覆い、羞恥に顔を背けながら春海の手が一臣を内部へと誘う。見られないようにと置かれた指の間に擦られ、先端が濡れた窪みに当たる。
 春海が誘導してくれるために空いた手で、春海の膝裏を掴んで大きく開かせた足を曲げる。
 眼下に広がる光景は淫らすぎて目に毒だ。脳の奥まで痺れてくる。
 そっと腰を進めると、入り口で抵抗にあう。力ないそれを押し分けて進むと、ずぷずぷと柔らかいのに圧迫感のある壁が一臣の形を確かめ刻むように変化しはじめた。
「……くっ……。あー、すげぇ……」
「あ――っ、……んん! ん、はぁ……あ」
 ゆっくりと深海へ潜るような慎重さで体を沈める間、春海は体を開かれる感覚に震えながら、何度も閉じてしまいそうになる目を開けて自分の中へ入ってくる男の顔を確かめた。
 膝裏を押さえていた手を外すと、春海のしなやかな足は一臣の腰に絡みつく。
「中……、カズちゃんが、……入って、る」
 言葉にした事実を確かめるように春海の内部がきゅっと絞られた。
「……ぅあ。気持ちいい……」
「気持ち、いい?」
「うん。お前の体も、声も顔も、全部いい」
 言葉を重ねれば重ねただけ春海の中は痙攣して、一臣の呼吸を乱す。
「あー、くっそ。動いていいか? ちょっと、激しくすると思う。耐えられる?」
 言いながらもう小刻みに腰を動かしている。
「うんっ、いい。いいから、もっと、カズちゃんがいいようにしてっ」
 理性が焼切れるような衝動だが、切り離されたのは理性とは違うもののようだ。証拠に、どう動けば春海はもっととろとろに溶けてくれるだろうかと考える思考は失っていない。
 どこに触れれば悦んで、何を囁けば心を感じさせることができるのか。もっと可愛がりたくて、もっと自分を求めさせたくてその方法を考えるけれど、煮えた脳が体に出せた指令と言えば熱心に春海の体内を掻き回すことだった。
 ただ打ち付けるのではなく抉るように。衝撃を受けて揺れる体を撫でてあやす。
 頬を濡らす汗に張り付いた髪の毛を梳いてやると、蕩けた目からポロポロと涙が溢れた。
「ふ、あっ、ああ、ん――っ、カズ、ちゃ、……んんっ」
 一臣の手に頬ずりして、一臣が作り出す振動に切れ切れになる喘ぎを発する。
 腹部にぬめりを感じて視線をやれば、春海の性器が自分の腹筋に擦れて泣いていた。
 不意に打ち付ける腰のリズムを緩め、長いストロークでゆっくりと攻めて繋がった場所に目をやると、昂ぶりの奥で濡れた粘膜が自分の凶器じみた楔に縋るように絡みついているのが見えた。白昼、と言うよりも朝と言った方が正しい明るみを浴びててらてらと光って見える。
 あまりに淫らな光景を凝視した視線を追ったのだろう、春海も首を自分の下肢に向け、悲鳴を上げた。
「見ないでって!」
 慌てる顔も可愛くて、じわじわ引いた腰を突き入れた。
 とろとろと流れ落ちる春海の先走りが、ぶつかり合った体の間で砕けて散る。声もなく身悶えた春海の内部の痙攣は激しくなり、一臣の作るリズムに合わせるように深く挿入したタイミングできゅっと絞り上げてくる。もう意地悪する余裕もなく、激しく春海の体を揺すり続けた。
「あっ、あ、あ、もうっ、カズちゃんっ、もう駄目! もういっちゃう……! ああぁー!」
 一際激しい突き入れを二度三度繰り返し、最後は春海の最も感じる部分に自身を押し付け悶絶する体を壊れてしまうほど抱きしめた。
 射精の快楽が食い縛った歯の間から動物めいた呻き声を上げさせ、同じように達した春海は二人の体の間に熱い飛沫を撒きながら何度も硬直と弛緩を繰り返す。
 息を整え目眩を振り切るように軽く頭を振って、力任せに抱きしめた体が心配になって春海の顔を覗き込む。
「あ……、あ、ど、しよ」
 涙に視界が霞んでも自分の目の前にさす影は一臣しかないと判断するのか、春海は縋るように手を伸ばしてきた。戸惑い怯えたような表情に眉を顰めながら、その手を握ってやる。
「どっか、おかしいか?」
 無理をさせただろうかと心配すると、
「終わら、ない。まだ気持ちよくて……」
 惑乱を表すように、開いたままの足が煽り立てるように一臣の腰を摩る。
「カズちゃんと繋がってるって思ったら、体が、止まんなくて……!」
 過ぎる快楽に助けてとさえ訴える恋人を前に、平常心でいられる男がいたらお目にかかりたい。
「俺に任せろ」
 たちまちに元気を取り戻した下肢は、あっと言う間に春海の中で硬さと大きさを取り戻した。
 一臣の得意なセリフに恋で盲目な春海は同意し、軽い絶頂を刻み続ける体をその原因である男に委ねた。
 初めての交わりに体は疲れ果てても心は感じ続ける。
 嬉しいのか怖いのかわからないと本気で泣く春海を甘ったるい言葉といやらしく動く手で慰めて、ようやく二人の精魂が尽きた時、上がり続ける嬌声に遠慮していた雀が雨宿りのため軒下に戻ってきた。
 かつてないほどハードなセックスだったが、意識を手放した春海に比べると一臣はまだ動けるだけの気力があった。汗や精液に塗れた体を清めてやろうとお絞りを作って部屋に戻り、脱力した体を拭ってやる。足の間、一臣が居座り続けた場所を拭うと、余韻が残っているのかひくりと腿が痙攣した。
 ぐしゃぐしゃになった布団の隣にもう一組の寝床を敷いて、サラサラしたシーツに体を移してやる。かけてやった毛布の下、春海は無意識だろうが綺麗になった華奢な体をくるんと丸めた。膝を折って背中を丸め、まるで猫のように体を小さくして眠る。小さい頃からの癖なのだ。
 春海の母親が恋人を連れ込んでいる間、春海は押入れの中で眠っていたと言う。そんな春海をうちの子にするにはどうしたらいいだろうと、夜中に相談している父と母の会話を盗み聞いたことがあった。
 自分に背中を向けて丸くなる春海の脇腹から手を滑らせて腰を抱き、自分の方へちょっと抱き寄せる。ころりと寝返りを打った体はしなやかに伸びて、一臣の腕の中に収まった。
 嬉しいと思うまま、笑い声が喉から溢れた。
「……ん」
 その振動が伝わったのか、春海が飛ばしていた意識を取り戻した。
 パサパサと睫毛を瞬かせながら、間近にある一臣の顔を見上げた。
「この景色をさ、覚えてろよ」
 その視線を天井へと促す。
「春海はこの家で抱こうって決めてたんだ。この天井見る度に、今日のこと思い出すように」
 ふんわり赤くなった頬を肩に押し付けて、春海は腕を伸ばして一臣の胸に甘える。
 くたくたに疲れたはずの体を蘇らせるようなパワーが注がれる。
「雨の日も思い出すだろうし。ここ」
 象牙色の肌に散りばめたキスマークを一つ一つ指で示していく。
「見ても思い出すだろ?」
「そんなの、しなくたって忘れられるわけない」
 膨れ面を装った春海の指が一臣の肩を突く。歯型が残っている。
 クスクスと一つの寝床で笑い合う。
 子供の頃と同じ状況が嬉しくて楽しい。
 茶化したけれど、これから同じ景色を見て同じ思い出を蘇らせる。そんな瞬間が増えるだろうと思うと、柄にもなく胸が高鳴る。
 父と母の間にあった会話や表情の意味を今になって理解してみたり、母が自分達に注いだ愛情の深さに気付ける記憶の断片を持つことの誇らしさを感じてみたり。そう言う過去を、これから春海と作っていく。
 憂鬱なはずの肌寒い雨の日も、二人で一緒にいるのならお互いの体温を認識できる気付きの日となる。
 愛していると伝えるのは下手くそかもしれないけれど、自分は今幸せだよと態度で示すのは得意だから、多分自分達は手を繋いで生きていける。

















 八月の厳しい日差しの下で、向日葵は堂々と重たげな頭を太陽に向ける。
 丘の上の墓地から見える美菜浜には色とりどりのパラソルがびっしり咲き誇り、波間にもビーズの粒をばらまいたような人影がある。沖にも幾つかの浮き輪やゴムボート、サーファーの姿が見える。
 美菜浜が最も活気付き、人で溢れかえる八月お盆休み。
 栄月館も満室御礼。びっしり予約が入り、このシーズンばかりは若者グループや家族連れで賑わう。
 一臣は栄月館だけではなく、浜中を飛び回ってあっちこっちで助っ人業をこなしている。その多忙極まる中に一瞬の隙をどうにか作って迎えた新盆。仰々しく人を呼ぶことはせず、栄月館の業務を抱えながらの墓参りだ。客が外に出払っている昼間を見計らった少し早い送り火を、一家揃って行うことになった。
 まだ新しい墓前に、庭で咲いた向日葵を供えた。
「父さん、送り火しに来るの嫌だっただろ」
「嫌だったよ」
「心配しなくても、母さんのことだからお盆なんて関係なくうちに帰って来てると思うよ」
「そうかな」
「そうだよ。ちゃんと飯食ってるかなーとか、掃除してるかなーとか、浮気してねぇかなーとか」
「それはないねぇ」
「どこまでも惚気るね」
 大月家代々の墓地にすくすく茂る雑草をせっせと抜きながら、男所帯のお喋りは弾む。
「四恩、手が止まってっぞ」
「止まってねぇよ! ちゃんとやってるよ!」
「ぶちぶち先っちょだけ摘んだって仕方ねぇんだよ。根っこから抜けって言ってるだろ。理解できねぇか、その鶏頭じゃ」
「うるせぇ兄貴だな! ハルはなんでこんな横暴な兄貴を好きになれたんだよ」
 抜いた草を一臣に投げつけ噛み付きながら、四恩は春海を振り返る。
「横暴だから?」
 さらりと放たれた言葉をどう理解したのか、四恩は暑さのせいではなく頬を赤くした。
「カズ兄は父さんと性格、全然違うけどさ、相手に対する態度はそっくりだ」
「甘ったるい?」
「そう、それ」
「うるせぇ」
 玉砂利を投げると、三人からの応酬を受けた。
「ほーら、こんなところで喧嘩しないで」
 それも我が家らしいと笑うであろう母へ線香を供える父が、膝を折ったまま手を合わせた。
 何を語りかけているのだろうか。
 深く深く愛した人を、ある日突然失ってしまった男は。
 どんなに純情な想いを交し合う番にも、必ず別れは訪れる。愛していればいるほど、その悲しみは深いものになる。人を愛することの先にあるのは悲しみと恐怖なのだとしても、 愛する者と過ごす日々がもたらす幸福感には敵わない。積み重なった幸福は、いつの日か訪れる別れの痛みを癒すだろう。父に遺されたのは、悲しみと厄介な息子たちだけではないはずだ。

「整列」
 その背中を見つめる弟達に声をかけると、従順に一臣の左右に並んだ。
「合掌」
 右腕には四恩と春海、左腕に二葉と三咲を抱いてふさがる一臣の手の代わりを、四つの手が務める。
「二葉の料理の才能が一刻も早く開花しますように。三咲にもうちょっと愛嬌が出ますように。四恩の頭がよくなりますように。春海がもっと俺に甘えてくれますように」
 神様への願掛けめいたそれらは、生前の彼女の願いであったかもしれない。
「寂しいからと言って、あんまり早く親父を連れて行かないように」
 これは肉体を無くした彼女の願いに反するものだろうけれど。
「栄月館を第二の故郷のように思う人が、一度でも多く美菜浜に帰ってきますように。あの古めかしい家が一人でも多くの人と出会いますように」
 頑張って生きていくから。幸せを願い、叶える努力をするから、どうかこの願いを聞いて欲しい。
「一臣は?」
 立ち上がった父が、両腕をいっぱいにした長兄の願いを尋ねる。誰かのために心血を注ぎがちな息子の意向を、この父は必ずそっと聞きだしてくれた。
「俺は……、今日みたいなちっちぇー幸せを、明日にも降らせてくれればいいよ」
「それが一番贅沢なお願いだ。でも朝子なら、必ず支えてくれるよ」
 優しい眼差しを受けて、一臣は一つ素直に頷いた。こんな目をする男になりたいと、密かに思いながら。
 さぁ帰ろうと促しながら一度後ろを振り返る父の横顔を、野暮を嫌う一臣は見ないでおいた。
「今日のバーベキューは僕らで用意しようか。たまにはハルちゃんにゆっくりしてもらって」
 息子たちの方へと歩き始めた父の顔に憂いはない。
「野菜切るだけなら俺にもできるよ」
「じゃあ、俺が特性ソースを作ってやる」
「二葉は余計なことしなくていいよ」
 コロコロとじゃれあっているのか喧嘩をしているのか。もつれ合うように階段を下っていく親子の後に続きながら、一臣は自分の隣に並ぶ気配がないことに気付いて振り返る。
 海風に乱れる髪を押さえた春海が、向日葵に彩られた墓石を振り返って足を止めていた。
 美菜浜が、栄月館が、この賑やかな家族が御守だったと春海は言った。
 東京で暮らしている間、ここに混ざることはなくても自分と繋がる人たちが温かな家庭を築いていると、孤独を紛らわすには切なすぎる思いを抱いて、くるりと膝を丸めて小さくなって眠った日々はもう遠い。
「春海」
 名前を呼べば小走りで隣に並び、ぶっきらぼうに差し出した大きな手に自分の手を触れさせる。
 半歩先行く一臣にはにかんだ笑みを浮かべて付いてくるのは昔と同じで、包み込まれた手を握り返してきたのは、苦かったり痛かったり甘かったり優しかったりする時間を乗り越えてきた今だからこそ。

 みんなが、幸せに暮らせますように。

 そんな母の声が聞こえた気がした。
 男ばかりの六人家族。粗暴で口が悪くて喧嘩も絶えない。無茶もするし、素直にもなれない。そんな一家に暗雲立ち込める時もあるだろう。巣立ちの時も、くるだろう。たぶんこれからも、たくさんのトラブルを抱えてぶつかって、ごちゃごちゃしながら生きていく。
 だけどそんな毎日が、貴女が幸せな人生送った証拠になるから、貴女を幸せにするための日々をこれから積み重ねていく。
 見上げた夏空は高く、天国の遠さを知る。けれど疑い無き愛情は体を廻り続け、隣を歩く大切な人へと注がれる。
 春海が笑う。
 自分の与えた情から芽生えた種子の、花の色を知る。





   終



2009/8/●●更新

 山育ちが書いた海辺の話ですが、地元愛に満ちた青年と言うのが好きです。
一臣は地元を愛し愛され、友人や家族を大切にする好青年ですが、亭主関白な性格であるとか、現代の女性が接すると「あ……、こいつ面倒くさい」と思われちゃうような、そんな欠点も含めて描いたつもりです。春海は私がよく受けに設定しがちな「一途」な部分を、より強く出してみました。一歩間違えば狂気にも通じる一途さの描写にチャレンジしたつもりなんですが、果たして(笑)Mっ気に収束した気もしますが。他、大月四兄弟や父親、一臣の友人達など書くのが楽しいキャラクターばかりでした。
 この作品を連載し始めて、初見のお客様からパチパチ拍手コメントをいただくことが多く、嬉しい思いをさせてもらいました。頑張って書いたという思いのある作品です。皆さまに愛してもらえると幸いです。

※ ※ ※ ※
朝チュン描写としましたが、当初はしっかり18禁描写が含まれていました。18歳以上でエロが読みたいのよ!と思ってくださる方がおられましたら、当サイトの裏ページを探してみてください。裏ページに18禁シーンを含めた10話を掲載しています。

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