※注意!!
このお話は当サイト「Films」迷物のBD学園モノです。
BDキャラのかっこいいみなさんが、退行して高校生とか先生とかなってます。
ご注意くださいませ。
5月。
下村と坂井は、化学準備室でだべっていた。
この部屋の主は現在は不在。
坂井はどこかで拾ってきたような古いソファーに横たわってうとうとしている。
下村は、ビーカーやら漏斗でコーヒーをいれている。
今日は土曜日。
午前中の授業もこなし、そのまま帰るのもなんだしと化学準備室にあがりこんだ。
日当たりのいい準備室にたっぷりと差し込んでくる陽光は心地良く、室内の空気をほのぼのしたものにする。
ここの主である化学教師で二人の担任の叶は、資料室の宇野の所だ。
遠慮を知らない二人は、叶の留守を見計らっては入り込んで好き勝手にしている。
叶もそれを知っていて、留守の前にはあれを片付けろこれを配っておけとメモを残していたりする。
今日も今日で、資料の整理をさせられてやっとくつろげる時間を得たのだ。
「坂井、コーヒーどうする?」
半分夢の中の坂井に問えば、うっすらと眼を開く。
陽射しの中でも坂井の髪は茶色に染まったりしない。
黒々とした艶をみせる。
その眠そうな双眸も同じだ。
反対に下村の髪は亜麻色に染まる。
よく生徒指導にはひっかかる。
「……飲む……」
もそりと起き上がる。
その髪の毛が少し跳ねているのを手櫛で整えてやる。
まるで頭を撫でられているネコのような表情の坂井は可愛い。
寝起きは悪いが、意識のはっきりしないうちの坂井の挙動はどこか幼い。
校庭に面した窓。
外からは運動部の練習中の声がする。
校庭に面する校舎の前には緑色のネットが吊るされていて、外からの視界は悪い。
寝惚け眼の坂井の唇に自分のソレを押し付ける。
太陽の匂いがする。
坂井は抵抗を見せないで、大人しく唇を重ねている。
深くはしないで、重ねているだけのキス。
下村が薄く眼を開けてみる。
坂井は素直に眼を閉じて、軽く喉を反らしている。
性欲を煽るようなキスではなくて、穏やかな好きだと言う気持を染み込ませるようなキス。
陽射しのせいかなと、下村は思う。
満足したかのようにお互い、同じタイミングでそっと唇を離す。
それでも、離れきってしまうのは惜しくて額を突き合わせた。
「眼、覚めた?」
「覚めた」
嬉しそうに笑ってみせる。
「な、もう一回しよ?」
子悪魔めいた誘いを断るほど、下村は坂井に対して用心深くない。
坂井もこんな顔をする時に悪さするほど頭も回らない。
気持ちよかったからもう一回。
坂井がその前に、ことんと下村の首筋に顔を埋めた。
太陽の匂いを吸い込むついでとばかりに、耳の下にちろりと舌を這わしてきた。
「あんまり挑発してくると、キスだけじゃすまなくなるぜ?」
「ココ、学校」
「一回、学校でやってみたくねぇ?」
「馬鹿、何言ってんだよっ」
「いや、マジで」
このままでは怒鳴りだしそうになった坂井の口を封じて、ソファーに押し倒す。
機嫌を損ねるかなと思ったが、坂井はくすくすと笑っている。
「キスしよう」
押し倒した坂井を真上から見下ろして言うと、坂井の手が下村の視界を覆った。
ほんのりと暖かい目隠しに素直に視界を占拠されたまま、手探りならず唇探りで坂井の唇を探す。
鼻筋、頬を経てやっと唇に辿り着く。
どちらも夢中になっていると、下村が口付けたまま呻いた。
「な、に?」
異変に坂井が眉を寄せながら、下村の向こうを見る。
「かのうせんせっ」
下村のシャツの襟首を掴んでいるのはこの部屋の主だった。
「人の城でなに不埒なことやってるんだ?」
呆れているようでも怒っているようでもない。
面白がっている。
気配を一切感じられなかった。
おまけに、
「お前の悪影響じゃないのか?」
「わっ、宇野センセまで!?」
坂井が真っ赤になって起き上がる。
が、起き上がりそのまま下村と頭をぶつけてしまう。
「「痛っ!!」」
坂井はソファーに突っ伏して、下村は叶に襟を掴まれたままの体勢で呻く。
呻く生徒を教師二人はくつくつと笑っている。
「コーヒーができてる頃かと思って帰ってきたんだ。いいタイミングだったな」
襟首を掴んだ下村を叶が脇にどかせて、叶がにやにやと笑う。
下村の恨めしそうな視線は完全無視。
宇野は近くのスツールを引いて、腰掛ける。
とすっと体重を感じさせない動作で、叶が坂井の転がっているソファーに浅く腰を降ろした。
坂井は耳まで真っ赤にして、顔を覆っている。
「ホラ、下村コーヒー」
顎で下村を動かす教師。
宇野も平然としている。
「ちくしょう」
小さく下村が呟けば、
「何か文句でもあるのか?」
とくる。
下村は黙ってアルコールランプにマッチで火を点ける。
ちらりと宇野をうかがえば、その細く白い首筋にキスマーク。
教師にはかなわないと思いながら、温まった頃合をみてカップに注いで差し出した。
言いたいことは山ほどあるが、黙っておいた方が自分のためだ。
「いい天気だな」
宇野が校庭の部活動を眺めながら言う。
「そういや、坂井と下村は班決めしたのか?」
「修学旅行の?」
「そう」
「二人以上ならいいんでしょ?」
当然のように坂井と下村班か。
呆れた顔をされるが、二人は気にした様子もなくコーヒーを啜っている。
「新婚旅行じゃないんだぞ」
宇野の茶々に坂井がむっと顔を顰める。
どうやら、二人の関係は一部の教師陣には知られているらしい。
素行は悪いくせに、素直で秀でた集中力を持つ坂井直司。
素行は大人しいくせに、曲がった性格を持つ下村敬。
全校生徒数もそう多くはない学内では目立つ存在だ。
噂にもなる。
幸い生徒にはあまりばれていないらしい。
勘繰っている女生徒は多々いるようだが。
「部屋割りも出席番号の順で行けば一緒だろうしな。下村の思うツボじゃないか」
「ザンネン、部屋は3人部屋なんですよ。二日とも」
つまらないと言った風に肩を上下させる下村に坂井が蹴りをいれる。
「先生の部屋割りってのはどうなんですか?」
「思うツボ」
羨ましいだろうと笑う叶に卓上の文鎮を投げたのは宇野。
素早くそれをキャッチして、叶は声を上げて笑った。
「沖縄は暑いかな?」
広がる晴天。
ここではぽかぽかと気持いいくらいの陽気。
南の島・沖縄へ発つのは来週だ。
2001/05/19
修学旅行出発前編です。
無意味にいちゃいちゃしてます(^^;)
沖縄は私が中学生の頃の修学旅行で行っただけなので、描写に自信なしです。沖縄の人、ごめんなさい(>_<)しかも、私達の学年の時から沖縄になって、先生に「お前等、実験台な」と明言されました。時間なくて大変だった記憶が……かすかに……。裏テーマは「修学旅行でいたしましょう」ってトコです(爆)