30000hit企画
学園祭 6


 波乱万丈の学園祭が終了して翌日は振替え休日。
 そして、後はテストと受験のシーズンとなった月曜日が巡ってきた。
 それでも今日は祭りの後、である。


 まずは学園で最も儲け、繁盛し金一封をいただいたF組はこの週末に打ち上げを予定している。
 喪服姿を披露した叶は、学園祭が終了してから宇野の側に近寄ることができないでいた。
 ちなみに宇野が期待していたPTAや教育委員会からの叶への厳重注意は、中年のご婦人からの燃え滾るようなファンコールとなった。
 それはそれでまぁよし。

 秋山は安見の門限時間を三十分早める案を家族会議で提出し、現在愛娘と愛妻から無視という仕打ちを受けている。
 頭を冷やせという温かいメッセージである。

 大崎と山根はF組男子から若い精気を吸収してか、最近益々女に磨きがかかっている。
 次回の検診、保健室への入室が恐ろしい。

 この学祭に収入源を託している写真部では、坂井の笑顔を激写できた者は残念ながら存在しなかった。
 途中学園長室に連れ去られたのが大きかったのだ。
 不機嫌顔ばかりの写真となったが、売れ行きは好調。
 F組コレクションとして他、下村や叶たちとのセット売りも好評である。
 が、売り始めて数日後、何者かが部室に侵入しネガを焼き払ったという。
 明らかに下村の仕業ではあるが、怖くて誰もそのことを追及していない。
 

 そして、高岸はと言うと。
「最近、高岸はどうしたんだ?」
「おかしいよな」
「この前、授業中に絶叫してたぜ」
「変なモン、食ったんじゃねぇの?」
「なんでもさ、恋しちゃいました、だってさ」
「恋、ねぇ」
「禁断の恋、かな。あんなに悩むなんて」
「青少年の健全な恋愛についての悩みを抱えてますって感じじゃねぇよなぁ」
 と噂され、後日西尾に呼び出され、悩みがあるなら言ってみろとの個別相談の時間を設けられてしまった。

 そうした学園祭の名残を残しながら、学生達の非日常はマンネリのようで実は日々変化しつづけている日常に溶けていくのである。



「下村、飯行こー」
「あぁ」
 いつもの坂井からの昼食の誘い。
 二人でそろそろ肌寒くなってきた屋上に上がる。
 夏の時よりは二人の距離は近い。
「体育祭も学園祭も終わったし、後はテストかぁ」
「そうだな」
 購買のパンをほうばって、缶コーヒーを開ける。
 温かいコーヒーに坂井の口元が幸せそうに緩んだ。
「なぁ、坂井」
「あー?」
「後夜祭ん時さぁ」
「うん」
「なんでキスさせてくれたの?」
 はぁ? と坂井の目が問う。
「だってやけに素直だったから」
 嬉しいような怖いような。
 窺うような目を向ける下村の前で、坂井はコーヒーをもう一口飲んでから事も無げにこう言った。
「好きだから、じゃねぇの?」
 人事のように言ったのは照れ隠し。
 赤くなった頬にキスをした。
 くすぐったそうに身を捩った坂井を追いかけて、二人して冷たいコンクリートの上に転がったけれど、二人だから平気。
 楽しいイベントは終わってしまったけど、なんでもない毎日だって幸せで楽しくてドキドキしてるから平気。


「今日は坂井、積極的だなぁ」
 向かいの学園長室からは川中がいつもの覗き見。
 藤木が背後で苦笑していた。


 今日も学園は平和である。

End


Back 5


30000HIT記念企画でした。こんなんでいいのか………と今更ながらに思ってます。
時間をかけすぎたあまりに、いろいろと矛盾してたり時間設定がわかんなかったり、学校の構造やっぱりおかしかったりしてて、申し訳ないです(>_<)
オールキャラを目指して、普段あんまり描かない人たちも出演させてみたのですが、少しでも楽しんでいただければ幸いです。オールキャラを目指すあまりに、肝心の下坂色が薄いのは悲しい結果であります(>_<)
機会があれば、学園祭下坂のリベンジとして、小会議室でのエロを書こうかなとも思ってます。
長いわりにはあんまりストーリー性とかもなくて、途中「あ、パパ、疲れてるんだろうなぁ」といった箇所とか多々あります。
こんなんじゃ、皆様への感謝の気持ちを伝えられないわっ!!
40000HITの時はもっといいもん書きたいです。はい。次回の記念企画までに、通常SSで皆様に喜んでいただけたらと思います。
どんなに感謝しても感謝しきれないのですが、これからも変わらず当サイト「FILMS」への作品掲載こそが一番の恩返しだと思っています。どうぞ、皆様、これからも杉山結とその作品をよろしくおねがいいたします。

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