エロ突入前の「聖夜の5つのお題」SSはコチラ
ぐるりと首を抱いた腕の力が強すぎて、少し動き辛い。
あまり引っ付くと疼くほどに立ち上がった性器が英介の肌に触れて暴走しそうになる。
その度歯を食いしばってやり過ごし、英介の体を探る。
含ませた二本の指をゆっくりと動かすと、組み敷いた体がピクリと跳ねた。
英介の指が襟足を撫でる感触に背筋をざわつかされ、先に限界を訴えることになる。
「もう、いい?」
耳を噛んで問うと、微かに頷かれる。
腿裏に手を入れて脚を大きく開かせて腰を抱えると、ますます首に回った腕が強くなる。
何せ男の、更にはアスリートの腕にがっちり固められた首に自由がきくわけがない。
下手をすれば事の途中に首をおかしくしそうだと、高山は申し出る。
「英介、ちょっと、動きづらい」
「んー」
高山のクレームに唸りながら、英介の手は高山の首から離れて頭上の枕の端を掴んだ。
その姿があどけなく見えて、ひどく可愛くて、思いかけないところで高山の興奮は跳ね上がる。
腰を抱いて慎重に英介の中に押し入る。
傷つけないようにと十分に解した場所は、僅かな抵抗をもって高山の熱を受け入れる。
ほわりと上気した頬に口唇を押し付けていると、悲鳴を殺した英介がゆっくりと息をついた。
落ち着くのを待っていると、ふと匂いに気付いた。
自分のアルコール臭とは違う、甘い匂いを英介の首筋から嗅ぎ取るとくすっぐったそうに肩をすくめた。
「風呂に、林檎が浮いてた」
「あぁ、それでか」
ホテルのサービスらしい。
英介の体温の上昇で蜜の匂いがたつ。
「美味そう」
「デザートですから」
英介にしては大胆な発言に驚くと同時に、繋がった場所が窮屈さを訴える。
「ぁっ……、ふ……、ん」
「……っ、あんまり煽ると、加減できなくなる」
何せアルコールがまだ抜けきっていない。
酔ったからと言ってどうにかなる面倒な癖は持ち合わせていないが、英介に言わせれば若干行為がしつこくなるらしい。
それは困ると囁いて、英介の手が高山の頬を包む。
この洋館は寮の部屋よりも壁が薄いようで、夜更かしに興じる宿泊客の気配が聞こえてくるのだ。
「軽くね、軽く」
努力します、と誓ってゆっくりと動き出す。
絡みつくような肉壁を味わうようにじわじわと腰を進め、同じ速度で引き抜く。
それだけのことに英介は口唇を噛みながら肌をさざめかせ、高山を困らせる。
感じやすい英介にとっての“軽く”など、高山にとって前戯にもならない。
あまり激しく動くとベッドも軋みそうだし、英介が声を我慢すると呼吸も辛そうになる。
我慢する顔も可愛いから、どうしようもない。
どうしようか、と動きを止めて考えていると、熱い指先が額を撫でてきた。
「帰ってから、するからさ、なんかやらしーこと考えてみて。タカ、そういうの得意だろ」
「……してくれるの?」
「ん、する。するから……」
引き寄せられた口唇に吸い付かれる。
音がたつように解いては絡めあうキスと、意識しているのか不規則に収縮する内側の動き、英介が自分の熱源をおさめるために下肢へと伸ばした手。
高山が英介を攻める動きは随分と抑制されて緩やかなものだが、高山の性感を高めようと尽くす英介の媚態に体は満足し、限界が見えてくる。
「んん……っ、な、に、想像、してんの?」
暗がりに潤んだ大きな目が綺麗でそこを舐めようとすると、ぎゅっと目を閉じられた。
今、頭の中にあることを吐き出したら、英介はとてもじゃないがこの腕の中におさまっていない気がする。
淫らな妄想はいくらでも生まれてくる。
粘度の高いローションを体中に塗りたくって愛撫してやったらどんな声で鳴くだろうか。
極まれば白濁の体液を零すそこには手を触れず、内側だけの刺激で絶頂を迎えさせてみたい。
苦手なのをわかっているから無理強いをさせたことのない口での行為も、最後までさせてみたい。
英介が触れた喉仏が大きく動く。
それを指先で感じたのか、それとも深く飲み込んだ高山の楔が質量を増したのを感じたのか、英介が喉の奥に悲鳴を留めた。
それを吸い上げるようにキスをして目を合わせると、濡れた目がスケベとばかりに睨んでくる。
そうしろと言ったのはそっちだと、詰る視線を無視して愛撫の手を伸ばす。
高山の硬い肌に擦れて赤く色づいた胸の突起を指先で捏ねると、びくりと体が跳ねた。
同時に高山もきつい締め付けにあう。
体の間で濡れる英介の性器も触れてやりたい。
だが腰を支えていないと動きにくい。
「どっちを触って欲しい?」
ストレートに尋ねてみた。
一度首を横に振って見せた英介が、高山の腹に昂ぶったものが押し付ける。
「――っ、ふ、ぅう……っ、ふ、ぁ!」
濡れたそこを握って上下に動かして口付けると、嬌声が口移しで伝えられた。
思うままに動けない下肢のかわりに口内を蹂躙して貪りあって、気持ちはどんどん興奮していく。
荒く乱れた呼吸も、体液でしっとりした肌が帯びた熱も、どちらのものなのか曖昧に感じられて、一つになっているのだと思い知る。
抱きしめた英介の背が反り、体の間に熱い飛沫が飛ぶ。
高山もまた、激しい動きはなかったものの普段と変わらぬ快楽に満たされる。
抱き合った体が幾度か痙攣しながら脱力した時、隣室からケラケラと笑い声が聞こえてきて、室内は一気に現実に戻った。
ふぅ、と大きな息をついた英介の手が圧し掛かってくる高山の頭を撫でる。
「何考えた? この頭の中で」
「……言えない。けど帰ったら実行するからな」
「むっつりすけべって、まさにお前のようなことを言うんだな」
「否定はしません」
「お前に付き合ってたら、体がもちそうにない」
「そこまで無茶はしないよ」
そんな軽口を叩きあいながらも、高山の手はさり気なく後始末をしていく。
肌を濡らした体液を拭い、脱がせたパジャマを纏わせてから腕を伸ばして抱きしめる。
セックスの後、減らず口は相変わらずでも体は甘えたがる。
髪の毛を梳いて頬を撫でると猫のように目を細めて寄り添ってくる。
そういう英介を甘やかすのが楽しくて、高山の手つきも甘くなる。
「疲れた?」
「ん……、なんか激しくはなかったけど、まだじんじんする」
「どこが」
「……全部っ」
笑う振動を含んだ口唇がこめかみに寄せられて、英介はむきかけた牙を引っ込める。
情事の名残に疼く体を抱きしめてくれる人と過ごす夜は、本来のクリスマスには似合わないのだろうけれど、日本のクリスマスのセオリーには沿っている。
けれど来年のクリスマスはこんなに甘くない。
タイトル獲得にピリピリと研ぎ澄まされた空気の中で過ごすだろう。
プレゼントはピッチの上でのアシストとゴール、そして勝利だ。
その勝利はサポーターへのクリスマスプレゼントになって、自分達はサンタクロースを気取ることもできる。
想像したらベッドの上で使い果たしたばかりの気力が再燃してきそうだった。
来年までとっておけと、それをおさめたのは英介の欠伸。
とろりとした目を閉じさせて、おやすみと囁けば口唇がむにゃむにゃと動いた。
ベッドサイドのランプを消して、英介から香る林檎の匂いに包まれながら高山も目を閉じた。
今年はとびきり甘いクリスマスを。
来年にはスパイシーに。
そしてその次も、また次の年も、君のいるクリスマスを。
2006/12/25
エロー、でした。想像でいっちゃうタカが書きたかったわけです。